ソフトバンク秋広優人の覚悟「トレードはチャンス」 新天地で大きな一歩を踏み出した若きロマン砲が覚醒の予感

田尻耕太郎

移籍後初めてお立ち台に上がった翌日、秋広がインタビューに応じてくれた。新天地での抱負とは? 【撮影:田尻耕太郎】

 6月13日~15日、福岡にDeNAを迎えての3連戦で秋広優人が躍動した。カード初戦の移籍後初タイムリーを皮切りに3戦連続打点をマーク。3試合連続でお立ち台に上がり、地元ファンの心をわしづかみにした。
 そんなさなか、巨人からソフトバンクに電撃移籍して1カ月を振り返り、秋広がその胸の内を明かしてくれた。(取材日:6月14日)

チームメートが喜んでくれた移籍後初打点

15日DeNA戦の8回、同点打を放ち勝利に貢献した秋広。3試合連続打点をマークしDeNA戦3タテの立役者となった 【写真は共同】

――巨人からソフトバンクへトレードとなり1カ月が過ぎました。

 振り返るとすごく早かったと思います。

――それは充実感? それとも慌ただしかったから?

 どっちもですね。最初ちょっとバタバタしている中ですぐにスタメンで使ってもらえて、落ち着く前に試合に出ている感覚でした。でも、慣れてきてからはすごく楽しさも感じています。だから両方ですね。

――1軍で戦えている充実感は大きいのでは?

 最初から1軍で使ってもらえるとは正直思っていませんでした。チームに故障者が多いのは分かっていましたが、それでもどうかなと思っていたので。

――少し前は福岡で新居を探す時間がないとも話していました。

 あ、決まりました。チームのみんなにどの辺が便利なのかとか聞いて回って。結局答えがバラバラだったので、最後は自分で決めましたけど(笑)。

――東京から離れて生活するのは初めて。

 福岡の印象もまだあまり分からないですが、出歩くと東京のころよりも声をかけられることが多いなと思います。嬉しいですね。

――プロ5年目でトレードを経験しました。まだ22歳。「まさか」という思いもありましたか?

 もちろん驚きました。ただ、まさか自分がというのはあまりなかったです。不思議な感覚でした。

――5月14日のホークス入団会見。「巨人に損したなと思われるような活躍を」というコメントがありました。秋広選手の覚悟を感じる言葉でした。

 トレードは、チャンスでもあるという思いはありました。ただジャイアンツに恨みがあるとかそういう意味で言ったのではなくて、僕がホークスに来て活躍しているのをジャイアンツの皆さんに見てもらえれば、出してよかったなとか、新しいチームで試合に出られるチャンスをあげてよかったなと思ってもらえればという考えがあっての言葉でした。

――6月10日~12日はセ・パ交流戦で古巣ジャイアンツとの対戦がありました。

 3連戦の2試合目にはスタメンで出させてもらって二塁打を打つこともできました。ジャイアンツを相手に戦うというのは不思議な感覚でしたが、すごく楽しくプレーすることができました。

――阿部監督に挨拶に行くと以前と同じように愛あるイジリがあったみたいですね?

 ですね(笑)。3連戦の初日に挨拶に行ったときは「君誰だっけ?」って言われました。2戦目も3戦目も毎日伺いましたが、そのたびにイジられました。そのときの中身ですか? 内緒です(笑)。

――あの二塁打は忘れられない一打になったのでは?

 交流戦でジャイアンツとやるのを楽しみにしていました。何とか1本打ちたいと思っていましたから。

13日のDeNA戦で移籍後初打点となる決勝打を放ちお立ち台に上がった秋広(写真左) 【写真は共同】

――続くカードのDeNA戦、初戦の13日では移籍後初打点となる先制かつ決勝の2点タイムリーがありました。

 みずほPayPayドームのビジョンは選手名の横に打撃成績が載っていて、僕だけ打点が「0」だったので恥ずかしかった。何とか数字を灯せてよかったです。

――チームの勝利に貢献して初めて仲間になったとよく聞きますが、実際にどうでした?

 そうですね。打ったときはベンチのみんなも喜んでくれて、すごく嬉しかったです。僕はもともと自分が打った喜びよりも、周りが喜んでくれるのを見るのが嬉しいというか結構好きなんです。僕が戻るときもベンチを飛び出してみんなが出迎えてくれた。嬉しかったですね。

――お立ち台にも上がって、その後ロッカールームに戻ったときも盛大に祝ってもらえましたか?

 いや、あの日は一緒に上がったモイネロ投手の準備に時間がかかって、普段に比べて試合終了から時間が経っていたのでロッカーに戻ったらあんまり人がいなかったです(笑)。

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著者プロフィール

 1978年8月18日生まれ。熊本県出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。2002年卒業と同時に、オフィシャル球団誌『月刊ホークス』の編集記者に。2004年8月独立。その後もホークスを中心に九州・福岡を拠点に活動し、『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)『週刊現代』(講談社)『スポルティーバ』(集英社)などのメディア媒体に寄稿するほか、福岡ソフトバンクホークス・オフィシャルメディアともライター契約している。2011年に川崎宗則選手のホークス時代の軌跡をつづった『チェ スト〜Kawasaki Style Best』を出版。また、毎年1月には多くのプロ野球選手、ソフトボールの上野由岐子投手、格闘家、ゴルファーらが参加する自主トレのサポートをライフワークで行っている。

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