全米OP+4発進、首に不安残る松山英樹 でも「かえってうまくいくかも」と谷原秀人が語る理由

塩畑大輔

全米オープン練習日、首の痛みで顔をしかめる松山英樹 【Photo by Warren Little/Getty Images】

 6月12日(木)に開幕した全米オープンゴルフ選手権(U-NEXTで独占生配信)、日本期待の松山英樹は初日を終えて4オーバーの62位タイと出遅れた。U-NEXTの『松山英樹徹底マークチャンネル』で解説を務めた谷原秀人プロは東北福祉大出身。プロ入り後も大学の合宿などに頻繁に顔を出し、学生たちにアドバイスを送ってきた。そんな谷原を、後輩たちはみな慕っている。のちにマスターズを制することになった松山もそうだ。今もなお、アメリカでのツアー転戦の合間に電話をしている。9年前に同じオークモントCCで行われた全米オープンには、2人そろって出場した。その際も、練習ラウンドや食事など、大会期間を通して常に行動を共にしていた。今年の全米オープン、松山が抱える首の痛みやボギー先行の展開は、今後にどう影響していくのだろうか。

厳しい状況も「明日以降すごく楽に回れる」

解説を務めた谷原秀人(左)と実況の工藤三郎アナウンサー。谷原は松山英樹の初日をどう見たか 【撮影:塩畑大輔】

 12日午後7時、都内のスタジオ。
 プロゴルファー・谷原秀人は資料をめくる手を止めて、目の前のモニターをじっと見つめていた。

 U-NEXTによる全米オープン第1ラウンドのライブ配信で、急きょ解説を務めることになった。
 担当するのは、松山英樹の18ホールに密着する『松山英樹徹底マークチャンネル』。その開始に備え、1時間以上も前からスタジオに入り、情報を整理していた。

 控え室のモニターには、ドライビングレンジでショット練習を始めた松山英樹の姿が映し出されていた。
 この映像はカメラのテストも兼ねたもので、まだ一般の視聴者向けには配信されていなかった。

 ショット直後。
 松山が首のあたりを手でおさえて、顔をしかめている。

 「痛そうだな…」「大丈夫かな?」周囲のスタッフがざわつく。
 開幕前日の練習ラウンドを、首の痛みでキャンセルしたという情報も、現地から伝わってきていた。

 谷原は言葉を発することもなく、大学の後輩が苦悶の表情を浮かべる様子を見守っていた。
 やがてぽつりと、こういった。

「これくらいのほうが、この大会はかえってうまくいくかもしれませんよ」



 第1ラウンド。松山は1バーディー、5ボギーの74とややスコアを落とした。
 だが、ホールアウト後の表情は、意外にも明るいものだった。

 解説を終えて控え室に戻ってきた谷原が、静かにうなずく。

谷原 首の痛みもそうだし、この初日のスコアもそう。捉え方次第で、明日以降すごく楽に回れる可能性があるんじゃないですかね。

 それはどういうことなのだろうか…?

 問う間もないまま、谷原は「それにしても」と言葉を続ける。

谷原 密着映像というのは、すごくいいですね。観客の皆さんと一緒に、ずっと選手について回っているような感覚で。いろんなことが見えて、とても面白かったです。

谷原 例えば、スタート前の練習場ですよね。映像を見てちょっとびっくりして。パッと見で分かるほど、構え方をガラッと変えていたんですよね。かなりハンドファースト(ボールの位置に対して手元を飛球線方向に押し出して構えること)になっていた。今はそういう取り組みをしているんだな、と思ったうえでラウンドを見ることができるのは、すごく面白いし、いいことだなと。

 ホールアウト後のインタビュー。
 松山は「今までやってきたことと新しい取り組みがごっちゃになって、訳が分からなくなったところもある」と吐露していた。

谷原 タイミングがあってない、というのはありましたかね。ティーショットでイメージ通りのフェードが打てず、左のラフに入ってしまう場面が今日は多かったです。構え方を変えたこととも関係があるのかな…。いずれにしても、そういう印象を本人に伝えて、話をしてみたいというのは強く感じましたね。それはやっぱり、ずっと密着する映像を見ることができたからこそ、かなと。

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著者プロフィール

1977年4月2日茨城県笠間市生まれ。2002年に新卒で日刊スポーツ新聞社に入社。サッカーの浦和レッズや日本代表、男子ゴルフ、埼玉西武ライオンズなどの担当記者を務める。2017年にLINE NEWSに移籍し、トップページの編成やオリジナルコンテンツ企画を担当。note、グノシーをへて、2024年7月からU-NEXTに所属。

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