クラブW杯に出場する欧州勢の“本気度”は? 全12チームの中で最もタイトルを欲しているのは…
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これまで欧州では関心が低く、盛り上がりもなかったが…
今回ヨーロッパからは、過去4シーズン(2020-21~23-24)のUEFAチャンピオンズリーグ優勝チーム(チェルシー、マンチェスター・シティ、レアル・マドリー)に加え、UEFAクラブランキング上位のバイエルン、パリ・サンジェルマン(PSG)、ドルトムント、インテル、ポルト、アトレティコ・マドリー、ベンフィカ、ユベントス、ザルツブルクの12チームが出場する。
周知の通り、各大陸連盟から1チームずつが参加するこれまでのフォーマットでは、大きな番狂わせがない限り決勝はヨーロッパと南米の対決になり、ほとんどの場合ヨーロッパのクラブが優勝してきた。それもあって、ヨーロッパではマスコミやサッカーファンの間でこの大会への関心が低く、盛り上がりもほとんどなかったと言っていい。たとえば筆者の暮らすイタリアでは、少しでも注目されるのは自国のチームが出場している時のみ。しかも本当に関心を持つのは出場チームのサポーターだけというのが普通だった。
しかし、32チームによる拡大フォーマットとなった今回は、話が少々異なっている。代表のW杯と同様シーズン終了後の6~7月開催、ヨーロッパの7カ国から12チームが出場、DAZNが全試合無料配信ということもあり、大会への注目度はこれまでとは比較にならないほど大きい。そして何より、出場するクラブの「本気度」も桁違いだ。
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優勝すれば欧州CL優勝と同規模の収入が得られる
まず、総額10億ドル(約1,400億円)とされる賞金の魅力が大きいことは言うまでもない。もしヨーロッパのクラブが優勝すれば、成績による賞金と参加賞金を合わせて、最大2億ドル(約280億円)を超える収入が得られる。これはUEFAチャンピオンズリーグで優勝したクラブが得る収入と肩を並べる規模であり、そのレベルのクラブにとってすら年間の収入を20~30%アップさせる金額だ。
それだけではない。この大会はUEFAチャンピオンズリーグと同じかそれ以上に、世界のサッカーファンに対してクラブの魅力をアピールする機会になり得る。
スポンサーやマーケティングといった分野において、ヨーロッパ内の市場はすでに飽和しており、欧州の頂点を争うメガクラブの競争の舞台は、北米、アジアを中心とするグローバル市場へと移っている。アメリカ、中国、インドネシア、インドといった巨大市場において、SNSを含めたメディア露出、マーチャンダイジング、スポンサー開拓といったビジネス面での競争で優位に立てるかどうかは、この大会に出場するヨーロッパのクラブにとっては生命線と言っていいほどの重要性を持っている。
結局はカネの話か、と思われるかもしれない。しかし、欧州トップレベルのクラブ間国際競争においては、チーム強化にどれだけカネをかけられるかが、ピッチ上の競争力に直結する。これが身も蓋もない厳しい現実である。
たとえば、先頃のUEFAチャンピオンズリーグ決勝を戦ったPSGとインテルでは、クラブの収入、強化予算、チームの給与総額のいずれにおいても2倍以上の差があった。5-0という一方的な結果に、それがまったく反映していないと言うことは難しい。
インテルのようにグローバル市場での競争力において後れを取っているクラブにとって、このクラブW杯がもたらしてくれるブランド力(人気とステータス)の向上や直接的な賞金収入は、この差を挽回するうえで非常に大きなチャンスになる。もちろん、すでに競争をリードしているR・マドリーやマンチェスター・C、バイエルンのようなクラブにとっては、その地位をさらに盤石にする機会でもあるわけだ。
長いシーズンを戦い抜いたチームがへとへとに疲弊しているにもかかわらず、参加するヨーロッパ勢の中に今大会を軽く見るクラブがひとつもおらず、どこも「本気度」満々である理由も、まさにそこにある。
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