レッドブルF1で苦戦続く角田裕毅 かつてのガスリーとの奇妙な共通点
予想以上に苦戦する角田
3戦連続して予選トップ10に入り、レースでも3回の入賞を果たすなど、確かに一定の結果は残してきた。とはいえチームメイトのマックス・フェルスタッペンはその間、ポールポジション3回、優勝2回。獲得ポイントもフェルスタッペンの137に対し角田は10と、その差はあまりに大きい。ドライバーズ選手権でも、フェルスタッペンが暫定3位でタイトル争いに食らいついているのに対し、角田は15位に沈んでいる。
角田ならもっとやってくれるはず、と期待していた人も多かったと思う。少なくとも僕はそうだった。2、3戦してマシンに慣れれば、1周のタイムはフェルスタッペンのコンマ2、3秒落ちまで迫り、レースでもコンスタントに上位入賞を重ねてくれるだろうと。
移籍後7戦を経ても、そうなっていない理由は何なのか。実は角田が兄のように慕うピエール・ガスリーもかつてレッドブルに昇格し、同じような苦戦を強いられた。そして二人の間には、いくつもの奇妙な共通点が見られるのだ。
二人ともクラッシュで躓いた
2018年にトロロッソ(現レーシングブルズ)からF1デビューを果たしたガスリーは、初年度の活躍が高く評価されて、翌年からレッドブルへの抜擢が決まった。チームメイトのフェルスタッペンは、F1に来て5年目。2年半前にレッドブルドライバーになってからすでに5勝を挙げ、エースドライバーに成長していた。
一方のガスリーは年齢こそ1歳上ながら、F1キャリアはわずか1年。最高位は4位でしかない。それでも本人は、自信満々だった。しかしシーズン開幕前、計8日間にわたって行われたバルセロナテストで、ガスリーは二度もクラッシュを喫し、新車を大破させてしまう。
開幕前のこの時期、スペアパーツは十分に用意されていない。その後のテスト走行が十分にできなかっただけでなく、シーズン中のマシン改良プランにも影響が及んだ。
これですっかり自信喪失したのか、開幕戦オーストラリアGPではフェルスタッペンが4番グリッドから3位表彰台に上がったのに対し、ガスリーは予選Q1落ち。レースも11位完走に終わり、その後もフェルスタッペンとの差はいっそう開いていった。
一方の角田は第7戦エミリアロマーニャGPの予選Q1で、いきなりクラッシュ。レッドブルが投入した新型フロアを壊してしまった。スペアパーツはなく、角田はその後の2戦を古い仕様のマシンで戦うことを余儀なくされた。予選最下位、レースも入賞圏外に終わった前戦スペインGPは、その影響を最も大きく受けた週末だった。