【月1連載】ブンデス日本人選手の密着記

堂安らの活躍で高まる日本人選手の価値 来季は三笘や久保らもこぞってブンデスリーガに参戦!?

林遼平

3年目のフライブルクでハイパフォーマンスを披露した堂安(左)と、ブンデスリーガ初挑戦で11ゴールの町野。ともに日本人選手の価値を大きく引き上げた 【Photo by Selim Sudheimer/Getty Images】

 堂安律、板倉滉、伊藤洋輝ら日本代表の主力クラスを筆頭に、2024-25シーズンも多くの日本人プレーヤーが在籍するドイツ・ブンデスリーガ。彼らの奮闘ぶりを、現地在住のライター・林遼平氏が伝える月1回の連載が、この「ブンデス日本人選手の密着記」だ。今季最終回となる第10回は、シーズンの総括と来季に向けた去就予測がテーマだ。堂安をはじめ多くの選手の活躍によって、ドイツ国内における日本人プレーヤーの価値はかつてないほど高まっている。

堂安は監督交代によって強みを前面に

 バイエルン・ミュンヘンの2年ぶりのリーグ制覇で終わった2024-25シーズンのブンデスリーガ。今季は欧州カップ戦の出場権をかけた戦いが最後まで白熱し、残留争いも終盤まで目が離せない状況となるなど、例年以上の盛り上がりをみせた。

 日本人選手に限って言えば、非常に明暗の分かれるシーズンだった。

 最終的に5位でシーズンを終えたフライブルクの堂安律は、キャリアハイの10ゴール・8アシストを記録した。昨季まで指揮官を務めたクリスティアン・シュトライヒ監督の下では守備に追われる時間が長かったが、今季からユリアン・シュスター監督に代わり、より攻撃面での貢献が求められることに。ボールが回ってこない難しい時期もあったものの、自身の強みである攻撃力を前面に押し出すスタイルに、これまで積み上げてきた守備力を見事にマッチさせ、確かな結果を残した。

 堂安のハイパフォーマンスに続いたのは、板倉滉、佐野海舟、町野修斗の3人だ。ボルシア・メンヘングラッドバッハに移籍して3年目を迎えた板倉は、最終ラインの大黒柱として活躍。これまで以上に身体を気遣うようになり、大きな怪我もなくシーズンを走り続けると、チームが上位争いに加わったこともプラスに働いてプレークオリティが向上した。

 日本代表の一員として参加したアジアカップでの不甲斐ないプレーを経て、“個”にフォーカスしながら試行錯誤を繰り返した成果が顕著に表れ、ブンデスリーガの強烈なストライカーを幾度となくシャットアウトしている。

怪我に苦しんだ伊藤、三好、チェイス

バイエルンの優勝メンバーとなった伊藤だが、故障に悩まされ、シュツットガルトからの加入1年目は公式戦わずか8試合の出場にとどまった 【Photo by Marcel Engelbrecht - firo sportphoto/Getty Images】

 ブンデスリーガ初挑戦となった佐野と町野も、ドイツ国内で大きく評価を上げた。

 今季からマインツに加入した佐野は序盤戦こそ新天地でのプレーに臆する場面もあったが、ボー・ヘンリクセン監督の指導や、ボランチでコンビを組むドイツ代表MFナディーム・アミリの影響を受けて徐々にフィット。シーズンの中頃には中盤の柱として君臨し、最終的に総走行距離でリーグトップの数字を叩き出すなど、自身の力を証明するシーズンとなった。

 ホルシュタイン・キールの町野はチームが降格の憂き目に遭うなかで、ゴールゲッターとしての才能を開花。前線から守備に奔走することを求められながらも、シーズン11得点を記録する立派な成績を残している。

 彼らとは対照的に、難しいシーズンを過ごした選手たちもいる。大きな期待を背負ってバイエルンに加入した伊藤洋輝、イングランドのバーミンガム・シティから電撃移籍でボーフムに加わった三好康児は、シーズンを通してケガに苦しんだ。ピッチに立てば存在感を示したが、出場機会の少なさを踏まえると期待通りの成果を得られたとは言い難い。

 また、前半戦で飛躍したシュツットガルトのチェイス・アンリも、後半戦に入ってケガに苦しみ、トップチームでの出場機会が激減。今季味わった悔しさを糧に、来季の成長に繋げてほしい。

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著者プロフィール

1987年生まれ、埼玉県出身。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることに。帰国後、サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして各社スポーツ媒体などに寄稿している。2023年5月からドイツ生活を開始

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