中谷潤人の圧勝劇を世界はどう評価した? 来春の対井上尚弥はトップ5同士の対決も

杉浦大介

WBC・IBF世界バンタム級王座統一戦で西田を破り、見事に王座統一を果たした中谷。今、ノリに乗るこの日本人サウスポーを世界はどう見たのか 【写真は共同】

 世界中のボクシングファンの目が再び日本リングに集中した。

 6月8日、東京・有明コロシアムで行われたWBC・IBF世界バンタム級王座統一戦で、WBC王者・中谷潤人(M.T)がIBF同級王者・西田凌佑(六島)に6回TKO勝ち。この結果、中谷は自身初の王座統一に成功した。日本人王者同士の激突は開始直後から激しい打ち合いとなり、最後は右目と右肩を痛めた西田の陣営が続行を望むIBF王者にストップをかけた。

“ビッグバン”という愛称を名乗り始めた中谷がセンセーショナルな攻撃力で西田を押し潰した形になった。そのパワフルな戦いぶりのインパクトは絶大だ。リングサイドで観戦した、“モンスター”こと世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)も中谷の攻勢ぶりに目を細めた。この勝利で2026年春に予定される井上尚弥と中谷のスーパーマッチが、実現に向けてまた一歩近づいたのは間違いない。果たしてこの注目の一戦を世界はどう評価したのか。米国、英国のジャーナリスト視点での中谷の世界評を紹介する。

スターを望む世界のボクシング関係者から高評価の中谷

日本人王者同士の白熱の一戦は、中谷(左)が強引にまで攻め続けて好敵手である西田を葬り去った 【写真は共同】

 この試合は米国でもESPN+が東海岸時間のAM4:30から生配信。メインの開始も早朝という観戦には厳しい時間帯だったにもかかわらず、試合前後には多くのボクシングマニアが反応していた。元ESPNのシニアライターで、現在はフリーランスのダン・レイフィール記者が自身のポッドキャスト内で述べていたこんな“中谷評”は象徴的なものだったといえよう。

「中谷はスピード、パワー、ボクシングIQを備え、良質なプロモーター、マネージャー、トレーナーにも恵まれた素晴らしいボクサーだ。アウトボクシングの能力もあるが、打ち合いを好むことは今戦からも明白。西田もハートの強さを示し、よく戦い、パンチも当ててはいたが、目が腫れ始めて以降は展開が変わってしまった。中谷は力強く戦い、西田の肩の脱臼もあって、これでバンタム級に転向して以降は5戦連続で6回以内のKOになった。私は井上尚弥の試合を見るのが好きだが、同様に中谷の試合を見るのも大好きだよ」

 過去25年にわたって第一線でボクシングを取材して来たレイフィール記者の言葉からは、中谷への高評価が伝わってくる。

 日本人ボクサーをリスペクトする米メディアはレイフィール氏だけではない。ESPN.comのマイク・コッペンジャー記者が自身のXに「中谷は闘志、才能、テクニックを最高級の形で融合させ続けている。常に攻勢に出て、試合の流れを変えるパンチを繰り出している」と投稿したのをはじめ、ジェイク・ドノバン氏、スティーブ・キム氏、ダン・カノービオ氏といったベテランライターたちが次々と中谷と日本ボクシングを讃える言葉をSNS、記事内などで残していたのが印象深い。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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