まだ早い?武居由樹vs.那須川天心の実現 お互いの“ベストな階級”での対戦が理想
“世界前哨戦”と銘打たれて行われた一戦を大差判定でクリアした天心には、次戦での世界戦挑戦が期待される。その相手として周囲が熱望するのは、WBO世界同級王者の武居由樹(大橋)に他ならない。果たしてともにキックボクシングにルーツを持つ2人の、ボクシングでの対戦は実現するのか。その勝負論と、ベストタイミングについて占う。
世界前哨戦をしっかり勝ち切った天心の成長
今後に向けては、本来の持ち味であるカウンターを活かしつつ、前に出てポイントを奪うスタイルが求められるだろう。試合後は納得のいかない表情も見せたが、強敵に勝ち切ったことで確実に前進している。キックボクシング時代の実績から知名度もあり、常に大きな期待がかかるが、まだボクシング転向から2年。焦る必要はない。この勝利で世界戦へ弾みをつけた。
世界前哨戦をクリアしたことで、注目されているのが武居との対戦だ。この日もゲストとして武居が会場に姿を見せていた。両者はキックボクシングでの対戦経験があるが、それはジュニア時代のことであり、過去の経歴は参考にはならないだろう。異なる道を歩んできた2人だが、お互いを強く意識し、対戦を望んでいる。ファン待望の試合が実現するのか、その行方が注目される。
不安定な一面も見せつつ、2度王者防衛を果たしている武居
その後、8連続KO勝利で世界戦の切符をつかむ。キック時代の間合いを活かした変則的なパンチでKO勝利を積み上げた。元統一フェザー級王者ナジーム・ハメド(英国)を彷彿とさせる変則的な攻撃で観客を魅了した。しかし、世界の舞台では課題も露呈。23年5月のジェイソン・モロニー(オーストラリア)戦では最終ラウンドにKO寸前まで追い込まれ、耐久面に不安を残した。
初防衛戦では元フライ級王者の比嘉大吾(志成)と対戦し、11回にダウンを奪われる激闘を戦い抜き判定勝ち。パワーに頼るスタイルゆえ、ガードが甘く被弾が多い点は明確な課題だ。また、世界クラスを相手にした際、パンチ力を十分に活かしきれない場面も見られた。
その後、ケガによるブランクを経て、25年5月にはユッタポン・トンデイ(タイ)と対戦。初回に3度のダウンを奪い、圧巻のTKO勝利で2度目の防衛に成功。試合間隔が空いたことでリフレッシュでき、調整もうまくいった様子だ。
今後は、9月名古屋で予定されているWBO世界同級1位のクリスチャン・メディナ・ヒメネス(メキシコ)との指名試合が注目されている。