【単独インタビュー】中田璃士、4Aにも挑んだカナダでの練習 「ファンタジー・オン・アイス」で来季EXを披露

沢田聡子

「ファンタジー・オン・アイス」に出演した中田が新プログラム『Victorious』を披露した 【(C)Fantasy On Ice 2025 】

力強い新プログラム「最後に倒れるかも」

 5月31日に初日を迎えたアイスショー「ファンタジー・オン・アイス」(千葉・幕張イベントホール)で、世界ジュニア王者の中田璃士が来季のエキシビションナンバー(ジョイ・ラッセル氏振付)を披露した。使用曲は、父である誠人コーチと母が選んだ『Victorious』。この日、黒の衣装で登場した中田はクールな旋律に乗り、クリムキンイーグルやレイバック・イナバウアーをみせる。16歳ながら大人びた格好良さで魅了した中田に対し、観客は立ち上がって拍手を送った。

 公演開幕の前日に行ったインタビューで、中田はこの演目への意気込みを語っていた。

「やっぱり力強い感じを出していきたいので、多分多少はばてると思うんですけど、それをあまり見せないように。しっかりお客さんにアピールして、頑張って演技をしたい。お客さんを楽しませるためのショーなので、記憶に残るような演技をして楽しんで帰っていただけたら嬉しいです」

「盛り上がる曲をやりたかったので、力強い曲を選んだ」と語る中田はこの新プログラムを気に入っているが、体力の消耗は激しいという。

「今までのエキシビションは滑りを見せるようなプログラムだったんですけど、今回は力強くてずっと動いているので、最後に倒れるかもしれないです」

 中田は「ファンタジー・オン・アイス」の約1週間前にカナダから帰国しており、このエキシビションの振付もカナダで行った。練習していたのはかつて羽生結弦も所属していた名門クリケットクラブで、2週間にわたりブライアン・オーサーコーチのもと、スケーティングを磨いてきたという。父である中田誠人コーチから、シーズン終了後に練習したい国を選ぶように言われ、中田自身がカナダを希望した。

 中田は自身のSNSに、カナダで4回転アクセルに挑む動画を公開している。

「(4回転アクセルは)途中で開かなければある程度いいところまではいけると思うんですけど、やっぱり変なところで降りて、横から落ちたりするのが怖いので。あまりハーネス(ジャンプ練習に使う器具)をやることがないので、1回ハーネスで感触を確かめたい。その感触を意識してやれたら、多分降りられると思います」

“挑戦”と“集中”で躍進を遂げた今季

 2024-25シーズンは中田にとって、躍進の1年となった。連覇を狙って臨んだジュニアグランプリファイナル(昨年12月)では3位となったが、その悔しさをぶつけた全日本選手権(昨年12月)では銀メダルを獲得。シニアのカテゴリーでも通用する力を印象付け、世界ジュニア選手権(2~3月)では初優勝を果たした。

 ファイナルを終えた後、中田は父からの言葉で発奮したという。

「ファイナルの後、タイトルがとれなかったのはもちろん悔しいんですけど、パパから言われる言葉が納得いかなかったので。『(全日本選手権で)6位以内に入れたら十分すごいよ』とも言われて、それでもっと悔しく思い、練習しました」

 父がコーチであることについては、どう思っているのだろうか。

「しっかりはっきり全部言えるので、それは自分にとってはいいところなんですけど、やっぱりその分、向こうからも言われるので。いいところも悪いところも、半々くらいあるって感じです」

 ファイナル後の父からの指摘については、「やっぱり『練習していなかった』と言われたら、その通りしていなかった」と反省。ファイナルが行われたフランスから帰国後、4回転トウループを猛練習したところ、左足を痛めてしまった。そこで、昨年5月5日に初めて降りたもののシーズンに入ってからは練習を中断し、約3カ月半跳んでいなかった4回転ループに再び取り組み始める。

 ループは痛めていた左足にかかる負担が少なく、中田にとっては元々得意なジャンプでもある。だが世界でも跳ぶ選手が限られる4回転ループに、ショート2位と好位置につけて臨んだ全日本選手権のフリーで挑んだのは、思い切った決断といえる。中田に、当時の思いを振り返ってもらった。

「自分は、そこで失敗をしても失うものがない。みんなに『気楽に出来る』とか言われるんですけど、全然そんなことはなくて。本当にプレッシャーもある中で、挑戦した方がいろいろな試合で結果も良かったので、やることを選びました。公式練習で初めて4回転2本を一つのプログラムで降りることができて、『いけるかな』と思って、(本番でも)やりました」

「ジュニアグランプリ1戦目もファイナルも、失敗した試合は全部守りに入って、小さなミスが積み重なってそういう結果になっているので。だったら、後悔しないように挑戦しています」

 全日本選手権では、試合への取り組み方についても大切な気づきがあった。過去の試合では他選手の点数を気にしていた中田だが、ショートで直前に滑った織田信成の『マツケンサンバ』で湧き起こった大歓声にも動じなかった。イヤホンをつけたままリンクに入り、集中していたという。世界ジュニア選手権でも自分に集中する“勝ちパターン”を貫き、金メダルを獲得した。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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