「うちで育つ確信持てず...」阪神・前川ら指名見送りの理由 元中日チーフスカウトが明かすドラフト秘話
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社長に怒られた指名
万一、髙橋宏斗が抽選になって外した場合は、やはりピッチャーが欲しかったから残っていた選手の中から考えると福大大濠高の山下舜平大(オリックス外れ1位)に行っていたと思う。外れ1位で牧を推す勇気まではなかった。
3位で近江高の内野手・土田龍空を指名してその次が福島の指名になったわけだが、この指名が後に球団社長から怒られた。ドラフト直前のスカウト会議で3位までの指名シミュレーションを行っていたのだが、その時は3位である社会人投手の名前が挙がっていた。その場には社長もいたから、社長は自分の部下である記者に「明日は〇〇に行っておけよ」などと指示を出していた。だが当日の流れでその投手は指名されなかった。
それでドラフト終了後、私と松永幸男スカウト部長が呼び出され「どういうことだ! なんで指名しなかったんだ!」と怒られた。私がもう一つその投手を評価していなかったこともあるし、シミュレーションはあくまでもシミュレーション。本番では想定していたよりも良い選手が残っていたから指名しなかったのだが、それは松永部長も同じ意見だった。だから私は「土田と福島の方が実力が上だからです。単純に実力の問題です」とはっきり答えた。ちなみに指名しなかったその投手は他球団に指名され、今はもうユニフォームを脱いでいる。
「米村さん、指名してやってください」
「周りは大卒ばかり。三好は高卒採用だから野球を引退した後は苦労するかもしれない。米村さん、指名してやってください」。そう言われたのだ。それで最後の最後、6位で獲った。
プロ4年目の昨年は岡林の怪我もありオープン戦から使われて開幕から「一番・センター」で起用された。結果は残せなかったが開幕からしばらくはスタメンで使われ続けた。だが5月末に抹消されるとそのまま昇格することなくオフに戦力外通告を受けた。結果を残せなかったのは間違いないが、せっかく多くの経験を積んだのだし年齢もまだ27歳。見限るにはちょっと早かったのではないかという思いはある。