宇都宮をB1制覇に導いた最強外国籍選手 D.J・ニュービルの意外なキャリアと成功の理由
しかし宇都宮はジャック・クーリーのファウルアウト(退場)から勢いづき、第4クォーター残り1分15秒にD.J・ニュービルが3ポイント(3P)シュートを決めて67-66と逆転に成功。琉球は20秒後にフリースローでひっくり返したが、宇都宮は残り33秒に比江島慎の3Pシュートで再逆転に成功する。
琉球も残り0秒で「すべてを決めれば同点」のフリースロー3投を得たが、ケヴェ・アルマが2投目を落とし、3投目のリバウンドから琉球が放ったシュートもグラント・ジェレットがブロック。最後までもつれた激闘は、宇都宮の勝利で決着した。
ニュービルが二つの個人賞を独占
レギュラーシーズンのMVPは5月30日の発表だが、ニュービルは2023-24シーズンの同賞受賞者で、今季も有力候補だろう。宇都宮初年度だった昨季はチャンピオンシップのクォーターファイナル(準々決勝)で敗れたものの、ついにチャンピオンズリングも手にした。
彼はファイナル第3戦についてこう述べる。
「本当に素晴らしい試合でした。自分たちに流れが来ない劣勢の中でもチームメイトを信じ、苦しい局面を耐えて、一丸となってプレーし続けたことが、勝利を呼び込んだと思います」
残り1分15秒の逆転3Pシュートはこう振り返る。
「自分たちはシーズン中、色々な逆境、大きな点差をつけられた状況を乗り越えていました。ジーコ(・コロネルヘッドコーチ代行)も『絶対に自分たちはできる』『逆境を跳ね返すことができる』と言ってくれて、それを信じてプレーをしていました。今までやってきた練習、自分の注ぎ込んできた時間を信じて、あのシュートを放ちました。本当に魔法のような時間帯でした」
バスケットボール界には「チームを勝たせるポイントガードが、いいポイントガード」という金言がある。宇都宮は2024-25シーズンのレギュラーシーズンで全体1位の勝率を記録し、CSも制した。ニュービルは個人としての栄冠を手にしただけでなく「チームをもっとも勝たせたポイントガード」という、文句のない成果を出した。
「守備」「我慢強さ」が評価されて大阪入り
彼が初めて来日した2020−21シーズンは外国籍選手のエントリー(試合への登録)が2人から3人に増えたタイミングだった。帰化選手やアジア特別枠で主力級のビッグマンを確保できたクラブが、ポイントガードやウイングの外国籍選手を取り始めた時期でもある。ニュービルもそんなひとりだ。
ただ必ずしも鳴り物入りでBリーグにやってきた選手ではない。彼にはNBA経験がないし、当時所属していた「ケアンズ・タイパンズ」もオーストラリアNBLの中では中下位。また彼自身も今のような「点取り屋」タイプではなかったという。
ニュービルを獲得した当時の大阪エヴェッサGM・阿部達也も、最初は他の選手がお目当てだった。しかしアシスタントGMだった冨山晋司と映像をチェックする中で、ニュービルの存在に気づいた。阿部はこう振り返る。
「実はNBLの得点王にもなった点取り屋がいて、その選手を中心にビデオを見ていました。その選手とニュービルがマッチアップしていて、すごく良かったんです。ディフェンスがいいし、3Pも(記録を)見てみたら40%でした。ディフェンス・オブ・ザ・イヤーを獲っていて、1番(ポイントガード)も2番(シューティングガード)もできる。『むしろこっちの方が良い』と思いました」
面談の結果も好印象だった。
「オンラインで面談したのですがすごく謙虚だし、芯も強かった。オフェンスの上手い選手は気持ちの上下がありがちですが、ディフェンシブ・オブ・ザ・イヤーになろうと思ったら精神的に安定していないといけません。彼は我慢強いんです」
ニュービルは来日すると大阪の絶対的なエースとして、衝撃的な活躍を見せた。特に勝負どころの第4クォーターで得点を量産し、勝敗に直結するプレーを連発していく。
「4クォーター残り5分でトントンの展開は、最後にニュービルにボールを持たせたら勝てる……という勝利の方程式ができました」(阿部)
大阪は2020−21シーズンを34勝20敗で終え、西地区の10チーム中2位でチャンピオンシップに進出した。大阪にとってはB1通算9シーズンのベストシーズンで、その立役者がニュービルだった。