高校スポーツ各競技の「最強地区」はどこだ!? 団体&個人球技から駅伝、武道系まで網羅
バドミントンは男女とも東北勢が一大勢力に
男子では、インハイ8連覇の金字塔を打ち立てた(2005~2012年)埼玉栄が、その後も2015年と2016年、2018年、そして昨年も優勝を飾っている。また東北勢では、福島のふたば未来学園、宮城の聖ウルスラ学院英智などが全国の舞台で輝く。ふたば未来学園は、桃田賢斗らを生んだ強豪・富岡を含む複数の高校を統合するような形で、2015年に開校した県立高だ。
一方の女子は、山口の柳井商工がインハイ4連覇中で、選抜大会は5連覇中。東北勢では男子と同じふたば未来学園、聖ウルスラ学院英智に加えて青森山田も全国大会を何度も制している。
卓球では、男子が愛知の愛工大名電、女子は大阪の四天王寺が近年圧倒的な強さを示している。愛工大名電はインハイの学校対抗8連覇中。四天王寺は昨年に同大会の連覇が途切れたものの、2023年まで10年連続で頂点に立っていた。昨年のインハイ女子学校対抗は、大阪大会決勝でその四天王寺を破った香ヶ丘リベルテが優勝しており、大阪が卓球女子の最強地区と言えるだろう。
前出の5大球技以外の団体球技では、バレーのように東京勢の強さが目立つ競技が少なくない。男子のアメリカンフットボール、女子のラクロスやハンドボールなどがそうだ。
アメフトは関西学院(兵庫)、大阪産業大付をはじめとする関西勢が長く隆盛を誇ってきたが、昨年まで9年連続でクリスマスボウルに出場している東京の佼成学園が、そのうち5回優勝。関東大会優勝校と関西大会優勝校が対戦するクリスマスボウルは実質的な日本一決定戦で、東京勢ではほかに早大高等学院が2010~2013年に4連覇を果たす(2011年は大産大付と両校優勝)など、大きな実績を残している。
ラクロスでは、2009年に始まった全国中学高校女子ラクロス選手権で東京成徳大高が最多の5回優勝。ここ数年は都立の飛鳥も力をつけてきている。ただ2023年、2024年の同大会は横浜市立東が制し、今年3月の第16回大会では同じ横浜市の日本大高が決勝で東京成徳大高を破って2回目の優勝を果たしたように、最近は神奈川勢の勢いがまさっている。
女子ハンドボールでは、過去10大会のインハイで東京勢が6回決勝に進出。佼成学園女子が3回、白梅学園が1回、全国一の称号を掴んでいる。
柔道男子は関東勢、剣道は男女とも九州勢が圧倒的
女子では埼玉栄が関東勢の筆頭格と言えるが、「最強地区」と呼ぶによりふさわしいのは九州だろう。とりわけ福岡の敬愛は地元開催の金鷲旗で滅法強く、2007年以降に優勝6回、準優勝も2回ある。
相撲では、今年引退した元横綱・照ノ富士の出身校である鳥取城北が、いわば“西の横綱”だ。全国高校相撲選手権の団体戦では、昨年まで8大会連続で決勝まで勝ち進み、そのうち日本一3回。先日も、100年を超える歴史がある高校相撲金沢大会で2年連続、直近6年で5回目となる優勝を飾ったばかりだ。
一方で“東の横綱”と言える高校が、大関の琴櫻など多くの名力士を輩出している埼玉栄。ライバルの鳥取城北とは、さまざまな大会で激闘を繰り広げてきた。鳥取城北を全国随一の強豪に引き上げた石浦外喜義総監督も、埼玉栄相撲部を30年以上率いる山田道紀監督も日大相撲部出身。高校相撲界を代表する2人の名将には、そんな共通点もある。
剣道は九州勢の強さが圧倒的だ。もともと九州の大会であり、毎年7月に福岡市で開催される玉竜旗高校剣道大会だけでなく、3月開催の選抜大会や夏のインハイでも、男女を問わず九州の高校が優勝戦線に絡まないことは滅多にない。
男子では熊本の九州学院が最強校と言える存在で、ほかには福岡大大濠と福岡第一の福岡勢、長崎の島原、大分の明豊などが強豪校として挙がる。かたや女子では福岡の中村学園女子を筆頭に、同じ福岡の筑紫台、大分の明豊、熊本の八代白百合といったあたりが近年では強い。
剣道と共通点が多いフェンシングでは、やはり九州の鹿児島南が名門校の1つに数えられる。高校フェンシングの事情通は、「早い段階から3種目(エペ、フルーレ、サーブル)を分けて練習するスタイルを確立した高校」と語り、パリ五輪銅メダリスト(女子サーブル団体)の尾崎世梨ら何人ものオリンピアンを生み出している。
そのほかには香川勢も、全国大会でコンスタントに好成績を挙げている。前出の事情通はその理由について、「県のフェンシング協会主導で、高松、高松北、三本松の3校にオリンピアンや優秀なコーチを招聘し、国体を最大目標に育成と強化に取り組んできた成果」と解説する。
(企画・編集/YOJI-GEN)