絶対王者・シェフラーはタイガーの域まで達するか? 丸山茂樹プロが全米プロの勝負を分けたプレーを解説

塩畑大輔

全米プロを制し、トロフィーを掲げ喜ぶスコッティ・シェフラー 【Photo by Andrew Redington/Getty Images】

 全米プロゴルフ選手権は世界ランク1位のスコッティ・シェフラーが通算11アンダーで制した。後続に5打差をつける圧倒的な強さで、2022年、2024年のマスターズに続くメジャー3勝目となった。U-NEXTのライブ配信で解説を務めた丸山茂樹プロにシェフラーの強さ、勝因について話を聞いた。

流れを掴んだ10番のバーディー

後半10番でしっかりとバーディーを取ったシェフラー。このバーディーが優勝につながったと丸山茂樹は見る 【Photo by Darren Carroll/PGA of America via Getty Images】

――今大会のシェフラーの強さについて、どのように感じましたか?

丸山 「強かったですね。何も言うことがないですよ(苦笑い)」

――U-NEXTのライブ配信では、タイガー・ウッズの名前も出して語られていた。

丸山 「やっぱりタイガーはゴルフの歴史上でも特別な選手で、シェフラーがそれに対してどうかという比較は正直難しい。ただ、今の時代の中では、群を抜いているという感じはします」

――シェフラーは最終日前半は1バーディー、3ボギーと少しつまずき、ジョン・ラームにいったんは並ばれた。前半と後半とでは、彼の特徴でもあるフォロースルー時の右足の動きに違いが見えた、という解説もされていた。

丸山 「最終日のスタート直後は、体の動きが少し止まっているかも、というように僕には見えた。それで、その分だけ左に捕まっているのかも、と。

 いずれにしても、後半の10番をしっかり取っていったのは、勝負を分けた大きなポイントのひとつだったと思います。ラームが首位タイに追いついてきたところでしたが、そこでティーショットをしっかり打ち抜いてバーディーを取れたことが、再び後続と差を広げていくところにつながったんじゃないかと感じています。勝負どころの14番、15番をしっかり取れたのも大きかったですね」

予想通り実力者が上位に来る結果に

2位タイでホールアウトしたブライソン・デシャンボーら、実力者たちが世界のゴルフ界を牽引していくことは間違いなさそうだ 【Photo by Andrew Redington/Getty Images】

 今年の全米プロ選手権は、初日を終えた時点では世界ランク上位の優勝候補たちが若干出遅れた。だが丸山は「最終的にはそういう選手が優勝争いを演じます」と断言していた。

――その通りの結果になった。

丸山 「シェフラーに関しては、終盤の難所と言われた「グリーンマイル(16~18番)」をアンダーパーで回っているわけですからね」

※「グリーンマイル」のホールスタッツ
16番パー4 529ヤード 4日間トータルの平均スコア4.327(難易度3位)
17番パー3 223ヤード 4日間トータルの平均スコア3.394(難易度2位)
18番パー4 494ヤード 4日間トータルの平均スコア4.410(難易度1位)

2006年、クエイルホロー・クラブで開催されたワコビア選手権でプレーする丸山茂樹 【Photo by David Cannon/Getty Images】

――クエイルホロー・クラブでは通常のツアー戦が長年開催されていて、丸山茂樹プロも何度もプレーしている。

丸山 「僕が出場していた当時は、16番はそこまで難しくなかったですが、やはり17番、18番はかなり気持ち悪いなと思いながらプレーしていました。今回のメジャー仕様の硬いグリーン、タフなセッティングの中で、あの3ホールをアンダーパーで切り抜けたというのは、もう本当に素晴らしいとしか言いようがないですね」

――難しいからこそ、実力がはっきりと浮き彫りになる。

丸山 「コースの難しさがとてつもないプレッシャーを生むので、そこに打ち勝つだけの技術力、メンタル、フィジカル、そしてマネジメント力がないと、どうしてもどこかで崩れてしまいます。それはしょうがないことだし、強い選手が際立つことにもなる。シェフラーについても、ショットもマネジメント力も別格だったということに尽きると思います」

 今季の海外メジャーは、初戦のマスターズでキャリアグランドスラムを期待されたロリー・マキロイが、重圧に打ち勝って大会初優勝。2戦目の今大会でも、マキロイとともに大本命に推されていた世界ランク1位のシェフラーが、圧倒的な強さをみせつけた。

――今後もシェフラーが中心となってゴルフ界が回っていく流れでしょうか?

丸山 「いつもシェフラー、シェフラーみたいなことは本当は言いたくはありませんけどね(笑い)。いつも言っているように、ワールドランキングトップ30の選手がメジャー大会の優勝争いを引っ張っていくでしょうね。そこは間違いないと思います」
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著者プロフィール

1977年4月2日茨城県笠間市生まれ。2002年に新卒で日刊スポーツ新聞社に入社。サッカーの浦和レッズや日本代表、男子ゴルフ、埼玉西武ライオンズなどの担当記者を務める。2017年にLINE NEWSに移籍し、トップページの編成やオリジナルコンテンツ企画を担当。note、グノシーをへて、2024年7月からU-NEXTに所属。

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