【世界卓球】史上最強メンバーの日本女子 2大会連続のメダル獲得、中国越えなるか
5名中4名が世界トップ10入り。史上最強布陣の日本女子
打倒・中国に挑む日本女子はシングルスに5名が出場するが、史上最強と言っても過言ではないメンバーが揃った。シングルス出場の5名のうち、張本美和、早田ひな、大藤沙月、伊藤美誠の4名が世界ランキングトップ10内におり、平野美宇も2017年大会でシングルス3位に入賞し、五輪2大会でメダルを獲得。5名全員が上位候補であり、メダルも狙える実力者だ。
その中でも特に勢いがあるのは、世界卓球個人戦初出場となる張本美和と大藤沙月だろう。ともに今大会はシングルスだけでなく、女子ダブルスと混合ダブルスと3種目すべてに出場。大会前に行われた日本代表の公開練習で張本は「3種目とも金メダルを目指して頑張りたい」と抱負を述べた。
張本は16歳ながら日本女子最高位の世界ランキング6位。昨年のアジア選手権では海外選手に圧倒的な強さを誇る世界ランキング1位の孫穎沙(中国)にも勝利しており、実力的には誰に勝っても不思議ではない。
メダル獲得、そして優勝を目指す張本にとって、最初の関門となるのが3回戦で対戦するであろうキム・クムヨン(北朝鮮)。国際大会への出場が少ないため世界ランキングこそ低いが、独特の変化攻守を操るクセ者で、昨年10月のアジア選手権シングルスでは張本を破って優勝を果たしている。ここを乗り切って、まずは準々決勝で対戦が予想される王曼昱(中国)への挑戦権を手にしたい。
1年で世界ランキングを100位台から8位にまで上昇させた大藤も、今大会でさらなるブレイクを期す。小柄だが豪快なスイングからパワーとスピードのあるボールを繰り出し、WTTで世界の強豪を切り倒してきた「小さなブンブン丸」。大藤は勝ち上がると4回戦でベスト8進出をかけて平野と対戦する可能性が高く、この対戦も白熱したゲームが期待される。
また、張本は木原美悠と、大藤は横井咲桜とのペアで女子ダブルスに出場するが、両ペアともメダル候補で優勝も狙える位置にいる。大藤/横井は昨年のアジア選手権女子ダブルスで優勝するなど、現在女子ダブルスで世界ランキング1位。張本/木原も第4シードとなっており、3・4月に行われたWTT2大会で優勝し、どちらの大会でも大藤/横井を破っている。
円熟の域に達しつつある「黄金世代」。三者三様の思い
早田は前回大会で王芸迪(中国)との激闘を制して3位に入賞し、パリ五輪シングルスでも銅メダルを獲得。パリ五輪で左腕を故障し、しばらく実戦から離れていたが、1月の全日本選手権では復活を感じさせる優勝。要所で持ち前の豪打を見せながらも、戦術や試合運びの面で成長を見せた。故障によって新たなスタイルを模索しながらの戦いとなるが「できることを見つけ出して自分なりに楽しむこと」を今大会の目標に掲げる。
パリ五輪代表を逃し、一時期はやや低迷した感のあった伊藤も、再び上昇気流に乗っている。4月のワールドカップでは大藤に勝利して日本勢で唯一のベスト4入り。準決勝でも蒯曼(中国)にフルゲームと肉薄した。同い年の平野が2017年大会で、早田が前回大会でシングルスのメダルを手にする中で「まだ獲ったことがないシングルスのメダルを獲りたい」(伊藤)と自身初のシングルスでの表彰台を見据えている。
世界ランキングでは他の4名に差をつけられているものの、平野も実力的にはトップ10の選手たちと遜色ない。持ち前の爆発力に加え、プレーの精度の高さも年々増しており、戦術面も磨きがかかった。今大会に向けては「決定力」をテーマに取り組んできた練習の成果を見せたい。
「今は相手に怖さを与えられるよう、『決める力』を高めることをテーマに練習しています」(平野)