【世界卓球】第4シードの張本智和はシングルス初メダルなるか 乱世の大会に日本男子が挑む

月刊『卓球王国』

1回戦から強豪・韓国のパワーヒッターと対戦する張本 【写真は共同】

 5月17日よりカタール・ドーハで開催される世界卓球選手権・個人戦。日本男子は2023年に開催された前回の個人戦では張本智和が混合ダブルスで銀メダルを獲得したものの、男子シングルスでは張本のベスト8が最高成績で、男子ダブルスでもメダル獲得を逃す結果となった。今大会では4月に就任した元日本代表の岸川聖也新監督のもと、前回大会を越える成績を目指す。

日本男子のエース・張本は初戦から難敵と対戦

 今大会、日本男子はシングルスに張本智和、篠塚大登、戸上隼輔、吉村真晴、松平賢二の5名が出場。世界卓球個人戦には吉村が6度目、張本が5度目、松平が4度目、戸上が3度目、篠塚は初出場となる。また、36歳の松平は実に12年ぶりの世界卓球出場を果たす。

 世界ランキング4位の張本は第4シードでシングルスに挑む。第4シードとなったことで、世界ランキング1位の林詩棟、同2位の王楚欽らとは準決勝まで対戦しない組み合わせとなり、シングルスで初のメダル獲得へ向けて、まずは良いドローとなった。しかし、張本には初戦から難敵が立ちはだかる。

 張本の1回戦の相手は韓国の左のエースとして活躍してきた林鐘勲。パリ五輪では混合ダブルスで銅メダルを獲得した選手で、最高で世界ランキングを11位まで上げた時期もあったが、ランキングを落としていたために張本と初戦で対戦する組み合わせとなった。両者は過去に国際大会で7度対戦し、張本の4勝3敗。直近の対戦では張本が連勝しているが、まずは初戦で強敵を振り切って勢いに乗りたい。

 そして、張本のブロックには戸上もドローされ、両者は勝ち上がると3回戦(ベスト16決定戦)で対戦。日本にとっては少々酷な組み合わせとなったが、国内外での対戦で何度も激闘を演じており、今大会でも対戦となれば白熱した好ゲームが期待される。

 また、中国勢がいないとはいえ、張本と戸上のブロックにはパリ五輪シングルス銀メダリストのモーレゴード(スウェーデン)、ヨーロッパトッププレーヤーの1人・ヨルジッチ(スロベニア)、韓国のエース・張禹珍らがおり、準決勝への道が険しいことには変わりはない。

篠塚も初戦から勝負のドロー。ベテラン2人の奮起にも期待

篠塚は1回戦で中国選手と対戦。3回戦でワールドカップ王者と対戦か 【写真は共同】

 張本、戸上とともにパリ五輪に出場した篠塚は前回大会でも代表に選出されていたが、故障により出場を辞退。今大会で2年越しの世界卓球個人戦デビューとなる。その篠塚が1回戦で対戦するのは中国5番手の薛飛。他の中国代表に比べると実績も少なく、世界ランキングも低いが、今年開催されたシンガポールスマッシュでは張本を下すなど実力は確かだ。

 篠塚の入ったブロックには4月のワールドカップで張本と中国勢を連破して頂点に立ったカルデラノ(ブラジル)がおり、勝ち上がると3回戦で対戦すると予想される。カルデラノだけでなく、パリ五輪団体戦でフランスを表彰台に導いたアレクシスとフェリックスのルブラン兄弟もこのブロックに入り、メダルをかけて熾烈な戦いとなるだろう。

 31歳の吉村と36歳の松平のベテラン2人は世界ランキングが低いため、早いラウンドで強豪と対戦する組み合わせが予想されたが、1回戦は比較的戦いやすい相手となった。吉村はヨーロッパ若手有望株の1人であるレジンスキー(ポーランド)と1回戦で対戦。世界ランキングこそレジンスキーの方が上だが、実力的には互角、もしくは吉村の方が上。2回戦以降もヨーロッパ勢との対戦となりそうだが、勝ち上がるチャンスは十分にある。松平の1回戦の相手・ブルサ(アルジェリア)も粘り強い選手だが攻めは遅く、松平としては対応しやすいはず。2回戦では五輪シングルスで2度メダルを獲得したオフチャロフ(ドイツ)との対戦が濃厚だが、ベテランの意地を見せてほしい。

 また、シングルス代表は逃したが、18歳の若き全日本王者・松島輝空がダブルスで世界卓球個人戦デビュー。張本智和と男子ダブルス、張本美和と混合ダブルスに出場するが、いずれもメダルを狙える力がある。男子ダブルスでは第2シードとして出場する戸上/篠塚もメダル獲得が期待される。

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