週刊MLBレポート2025(毎週木曜日更新)

佐々木朗希の4シームは、なぜ空振りが取れないのか? 負傷者リスト入りの逆境をチャンスに変えて課題克服へ

丹羽政善

右肩痛で15日間の負傷者リスト入りした佐々木朗希 【写真は共同】

データから読み取る佐々木朗希の4シーム

 前回の先発以来、キャッチボールをしていなかった佐々木朗希(ドジャース)。13日の試合前(※日時はすべて現地時間)、デイブ・ロバーツ監督が前回の降板後に、佐々木が右腕の痛みを訴えたことを明かした。その時点では、症状の詳細に触れず、依然として「予定通り、15日に先発する」と話したが、試合直前になって、ドジャースは佐々木を負傷者リストに入れたことを発表した。理由は「インピンジメント症候群」。

 インピンジメント症候群は、肩関節を動かす際に、関節付近で他の骨や筋肉との衝突が原因で痛みが起こる。目の届くところで調整をさせるために負傷者リストに入れた可能性もあるが、本当であれば、15日間で復帰できるケガではない。回復は、程度と治療次第だが、現時点では程度、見通しは明かされていない。
 さて、これによってケガに最近の球速低下の理由を求めることはできるものの、ケガから復帰しても、それがすべての解決につながるかどうか。

 ここまで596球を投げている佐々木朗希。4シームの割合は50.2%。フォークが32.9%。スライダーが16.9%。リーグ平均(5月11日試合終了時)が31.7%なので、この時点で4シームの割合が平均よりも多いが、ボール先行時は、佐々木の4シームへの依存度が、より鮮明になる。

 以下、前回登板終了後の4シームのカウント別配球比率。
1-0 70.8%
2-0 100%
3-0 100%
2-1 63.2%
3-1 90.0%


 逆にストライクが先行するとフォークが増える。
0-1 56.5%
0-2 85.2%
1-2 76.2%


 これだけパターン化されていれば、打者としては来る球を予想しやすい。佐々木の4シームの空振り率は10.1%(21.3%)。ハードヒット%(打球初速95マイル以上)は52.1%(46.9%)だが、4シームの割合が多いカウント(1-0、2-0、3-0、2-1、3-1)では、空振り率は7.7%(20.0%)まで下がり、ハードヒット%は53.1%(51.0%)に上がる。ハードヒット%は思ったほどの上昇率ではないが、そもそもが高い。
※カッコ内はリーグ平均(5月11日試合終了時)

 平均球速は96.0マイルで、リーグ全体ではトップ20%に入るが、その程度では、もはやアドバンテージにならないということ。それにしても空振り率が10.1%とは――。その答えを探ると、それはやはり、軌道ということになりそう。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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