〇か×で断言! MLB日本人プレーヤーたちの2025年を大予想

予期していたマイナー降格 ナショナルズ・小笠原慎之介の現在「アピールしてD.C.に行きたい」

丹羽政善

代理人や食生活のことなど、アメリカの生活について話す小笠原慎之介 【筆者撮影】

リハビリをしながらホテル生活の日々

 小笠原慎之介(ナショナルズ)に会ったのは、2月終わり以来、2カ月半ぶり。顔の輪郭が、少しシャープになっていた。

「痩せたんですよ。220パウンド(99.8キロ)から、207(93.9キロ)パウンドに」

 2月中旬から、ホテル生活。食事はクラブハウスで提供されるものか、電子レンジで温めて食べるものがほとんど。ただ、インタビューをしたホテルのプールサイド脇にバーベキューグリルがあるのをみて、「おっ」と声を上げた。

「こんなに長く泊まっているのに、知らなかった。これで(食事の)選択肢が増えそう」

 普段から、食生活には気を使う。実はインタビューの直前も、代理人事務所の栄養担当とミーティングをしていた。

「アレルギーとかちょっと僕も知りたかったので、そういうのが、テストできるキットないのかなーみたいな感じで会話をしていて、まぁ、何を調べたいかでキットが変わってくる・・・そんなミーティングでした」

※リンク先は外部サイトの場合があります

 小笠原は、まだ、アメリカでもさほど知られているわけではない、大手ではあるものの野球界では新興のWME(ウィリアム・モリス・エンデバー)と代理人契約をしている。アンソニー・ボルピ(ヤンキース)、イアン・ハップ(カブス)、日本人大リーガーだと松井裕樹(パドレス)らが主なクライアントだが、「アフターケアじゃないけど、契約だけじゃなくて、いろいろやってくれる」と話す。

「ここら辺にクレッシースポーツってあるんですけど、2年前、そこへ行った時も、事務所にトレーニングとか管轄している人がいるので、『おすすめのところありますか?』って聞いて。『どういうのをやりたいですか?』って聞かれたので、投げたいし、重りも上げたいし、動きも速く、切り返しもできたり、体を操れるようなところがいいですと言ったら、じゃあ、そこがいいねって。ブッキングもしてくれました」

 インタビュー前日も代理人と会っていた。

「家とか本当に諸々、いろいろやってくれているので、良い事務所に入ったなぁと思っています」

嬉しかったチームメイトからの励ましの言葉

3月20日のメッツ戦で登板する小笠原。この翌日、マイナー降格を伝えられた 【Photo by Doug Murray/Icon Sportswire via Getty Images】

 ただ、まだ、ワシントンD.C. に家はない。昇格以前に、ケガからの復帰が見通せない。

 マイナー降格を伝えられたのは、3月21日の朝だった。

「スプリングトレーニングが終わる直前、僕が最後に投げた日の次の朝ですね。いつも通りミーティングをする予定で投手コーチのところに行ったら、監督室に呼ばれて、明日からマイナーに行ってもらうと」

 予期はしていた?

「もちろん感じていました。『そろそろ結果を出さないとやばいな』っていうのはありましたし、それも逆に空回りしちゃって、いつも通り自分のプレーをしておけば、もしかしたら良かったのかなと思ったんですけど」

 焦りが、悪循環につながった。

「僕も切羽詰まっていて、(対戦相手の苦手なコースなどが示されている)ヒートマップとか見るんですけど、それよりピッチクロックとかあって、いろいろ頭には入っているけど、名前も覚えなきゃいけないし、ミーティングする時間もないしみたいな感じだった。もう2時間早くレポートとかくれたら、ちょっと余裕持って見られたんだけどなって思ったんですけど」

 時間的にも精神的にも余裕がなかった。そんな事情をしかし、球団が理解してくれていたのが救い。監督室で降格を伝えられたとき、マルチネス監督からは「ポジティブでいて欲しい」と声をかけられた。

「ビザの関係でスプリングトレーニングに入るのも遅れて、通訳も決まるのが遅かった。本当に慣れない環境で遅れが生じて、大変だったと思う」

 そう言ってもらえただけでもありがたかったが、チームメイトの励ましも嬉しかった。クラブハウスに戻り、荷物をまとめていると、同じ先発のトレバー・ウィリアムズ、マッケンジー・ゴアらが集まって声をかけてくれた。

「結果も残せなかったし、悔しいだろうな」

「今はちょっと、ショックだろうな」

 彼らからは、キャンプが始まってすぐに食事に誘われた。ウエストパームビーチにあるレストランで食事をしたが、こんなサプライズがあった。

「お前、今日は誕生日だろう?」

 いや、小笠原の誕生日は10月である。

 しかし、ウィリアムズらは店員に、「こいつ、今日が誕生日だから」と伝え、大きなチーズケーキに、小さな花火を立ててもらった。

 歓迎会というより、誕生会としてカジュアルに迎えてくれた。

「なんか、チームメイトはいい人ばっかりです」

1/2ページ

著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント