レイカーズ&八村の24-25シーズン総括と未来予測 “喜びを解き放つ瞬間”はドンチッチが絶対軸となる来季か
プレーオフで仇となった「高さ不足」
それでも、「レイカーズの未来は明るい」と見る識者は少なくない。予想よりも早くにオフを迎えた今、改めて4つのポイントから今季のレイカーズを総括し、未来を展望する。
【ポイント①】インサイドの人材不足
2月にダラス・マーベリックスとの間で成立させたルカ・ドンチッチのトレードでは、長年インサイドを支えてきたアンソニー・デイビスを手放した。
その後レイカーズはジャクソン・ヘイズを先発センターとして起用していたが、プレーオフではフォワードのドリアン・フィニー・スミスを重用。レブロン・ジェームズ(206センチ)、ドンチッチ(198センチ)、八村塁(203センチ)、オースティン・リーブス(196センチ)、フィニー・スミス(201センチ)の5人は、機動力を活かして相手を圧倒するためのラインナップだ。しかし、プレーオフでは高さ不足が仇となる。
1回戦敗退が決まった第5戦では、ウルブズのルディ・ゴベア(216センチ)に27点、24リバウンドという活躍を許した。そのうちオフェンシブ・リバウンドは9本で、レイカーズはチーム全体で8本しか奪えず。セカンドチャンスを許し続けたというのは、レイカーズが速攻に持ち込めなかったことを意味する。機動力を活かす場面が限定されたのだ。
試合後、八村は「リバウンドを取れる人が必要」と語った。2月にはダルトン・コネクトを放出してシャーロット・ホーネッツから213センチのマーク・ウィリアムズを獲得するトレードに合意していたが、のちにウィリアムズのフィジカルチェック時に問題があったとして破談となっている。
今オフ、首脳陣の最優先事項はビッグマンの補強だ。ロブ・ペリンカGMも、「オフの主要な目標の1つはフロントコートにサイズを加えること」と断言している。
ドンチッチの2メンゲームの相棒は?
では、デイビスを放出したのは失敗だったのか。そう断言するのは早計だ。ドンチッチがより活きるためのロスター作りがなされるであろう来季の結果が、その答えとなる。
レイカーズがドンチッチを軸にしようとしているのは明白だ。2月に加入した直後から、マーベリックス時代のようにオフェンスの手綱を握らせている。これまで主役だったレブロンは若いエースにボールを託し、オフボールの動きやディフェンスにより注力。そのためドンチッチは、マーベリックスで記録していた平均得点(28.1)とほぼ変わらぬ得点(28.2)をレイカーズで挙げている。
プレーオフでもオフェンスをリードしたが、胃腸炎に苦しんだ第3戦、腰を痛めた第5戦ではFG成功率が4割を下回った。チームトップのシュート試投数(平均20.8本)を記録するドンチッチの不調は、レイカーズにとって痛手だった。
しかし、ドンチッチはシュートが入らなくてもアシストで貢献できる。マーベリックス時代のような2メンゲームの相棒がいなかったことも、敗因のひとつに挙げられるだろう。
マーベリックスにはダニエル・ギャフォード、デレック・ライブリー二世という、ドンチッチとのピック&ロールでリングにダイブできるビッグマンがいた。こうした存在が、得点とアシストで力を発揮するドンチッチをより輝かせる。【ポイント①】で言及したビッグマンの確保は、ドンチッチの相棒として相応しいかという点が1つの指標となるはずだ。
新旧エース同時出場時の得失点は……
NBA22年目のレブロンは、今季もチームの大黒柱として圧倒的な存在感を発揮した。ケアレスミスも散見されたが、集中力を増したときのプレー強度は今でもリーグトップクラス。さらに、ドンチッチにオフェンスのリードを託し、オフボール時のプレーやディフェンスに注力する献身性も見せている。
そんなレブロンも40歳。残り1年となった現行の契約はプレーヤーオプションで、来季については慎重に判断するとの意思を示している。無論レイカーズのフロントは慰留に前向きだ。それでも年齢的な問題に加えて、これまで数多の偉業を成し遂げ、今季は息子ブロニーと同時出場という長年の夢を叶えたレブロンが、来季もプレーするかどうかを即決できないのは当然のことだろう。
まずはレブロンの決断を待つべきだが、多くの識者や現地メディアは最低でもあと1年の現役続行を予想している。幸いそうなった場合、来季の課題はドンチッチとのケミストリー向上だ。
今季レギュラーシーズンでレブロンとドンチッチが同時出場した時間帯は1399得点・1375失点と、わずか24点しか相手を上回れなかった。レブロンの負担を軽減しつつ、ドンチッチ中心のチーム作りを推進する最適解を、JJ・レディックHCはオフの間に見つける必要がある。