小笠原道大がセ・リーグの新戦力を徹底診断 田中将、甲斐、バウアー、茂木、ファビアンは期待通り?
今回、特にインパクトを残したセ・リーグの新戦力について、小笠原道大氏に聞いた。新戦力がチームに与える影響とは?
(成績はすべて5月3日時点)
新戦力が機能し好スタートを切った巨人
4月を終えて、打率3割台を維持。こんなに打つとは誰も予想していなかったでしょうね。自分で「このゾーンに来たら振る」と決めてスイングしているようで、打席の中での迷いが少ないのだと思います。頭の中を整理して打席に入ることができている。相手からしたら、あそこまでしっかりスイングされるのは嫌ですよ。加えて一、二塁間への巧打を見せることもある。他のバッターも好調なところに甲斐選手の打撃がうまく噛み合って、打線としていい形になっていますね。
――キャッチャーとしても、全試合でスタメンマスクを被っています。
特に若い投手は、経験豊富な甲斐捕手とバッテリーを組む安心感に加え、今までにない意見を耳にできます。それによる気付きや発見が、新しい自分を見つけることにつながるかもしれない。井上温大投手なんか、そうなんじゃないでしょうか。一方で、昨年健闘していた捕手陣が、出られなくなってしまった。結果論ではありますが、戸郷翔征投手のように成績の上がらない投手もいます。従って甲斐選手の加入に関しては、「総合的に見てプラス」と考えるのが妥当かな、と思います。
――田中将大、マルティネス、石川達也の3投手についてはいかがでしょう。
田中将投手は昨年勝ち星がなかったのですから、まず4月に1勝できて十分だと思いますよ。ギアを上げたときには、いいボールを投げていましたし、5試合ほど見てから判断したいですね。マルティネス投手は3月の時点であまり状態が上がっておらず、「?(クエスチョンマーク)」をつけていたんですが、あれはまだ調整段階だったようで、きちんと結果を出してきましたね。彼と大勢投手で8回、9回が安定したのは、とにかく大きいですよ。石川投手も左の先発がほとんどいなかった中、ローテーションを回しているところで、まず評価できます。防御率1点台で、しっかり試合を作っているので、いい補強をしたと思いますよ。
DeNA、ヤクルトに新しい風を吹かせる救世主
最初の試合(3月29日、中日戦)だけなら寒さや雨が影響した可能性もありましたが、3試合続いたとなると、コンディションか体のメカニズムか、何かがうまくいっていなかったのだと思います。全体的にボールが甘く、ボールをきちんと扱えていない。狙ったところに投げることができていないように見えました。
――DeNAも野手陣では三森大貴選手が、打っては一番から三番まで、守っては一、三塁と外野で奮闘しています。
彼は実にいい補強でしたね。ソフトバンク時代は、選手が多すぎてなかなかチャンスが巡ってこなかった。バッティングも悪くないし、どこでも守れて足もある。打線が安定してどっしり戦えるようになれば、より三森選手が生きてくるのではないでしょうか。
――ヤクルトの茂木栄五郎選手も打撃好調で、4月下旬から打順を三番に上げました。
初めて三番に入った巨人戦(4月20日)で、いきなり初回にホームランを打ちましたよね。思い切りの良いバッティングが、彼の魅力。凡打している打席でも、しっかりバットを振っています。こういうバッターがいると、打撃陣に刺激が入りますよ。ヤクルトは故障者続出で、彼を獲っていなかったらどうなっていたんだろうと思います。
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