Jリーグ、春秋制最後の25年シーズンの行方を読む

開幕10試合の活躍度から選定…25年J1でインパクトを放つ「主役」候補10人!

佐藤景

5位:渡邊凌磨(MF)浦和レッズ

ボランチからトップ下への配置転換で輝きが増した。4月9日には結婚を発表し、公私ともに充実の一途をたどる 【(C)J.LEAGUE】

 シーズン序盤は、どこでもプレーできる万能性を持つがゆえにチーム事情から3列目を担い、その才能が制限されていたのかもしれない。だが10節の町田戦から4-2-3-1のトップ下で先発するようになると、攻撃の中心としてチームを活性化。ゴールに絡むプレーが増え、2ゴール1アシストを記録して4連勝の原動力となった。

 その町田戦でGK西川周作のフィードをワンタッチでさばき、松尾佑介のゴールを導いたプレーは見事の一言。確かな技術と周囲の状況を見極める渡邊凌磨の真骨頂だった。

4位:熊坂光希(MF)柏レイソル

東京国際大出身のプロ2年目。リカルド・ロドリゲス新監督に抜擢され、才能が大きく開花した 【(C)J.LEAGUE】

 そもそもボールを奪えなければ、つなぐことはできない――。リカルド・ロドリゲス新監督のもと、ポゼッション重視のスタイルに舵を切ったチームで、この『原則』を実践するのが熊坂だ。

 攻撃面でも非凡な才を持つが、特筆すべきはその回収力。的確なポジション取りと奪取スキルでボールを奪ってはシンプルにつなぎ、攻撃のリズムを生んでいる。昨季の先発は1試合のみだが、今季はここまで全12試合で先発。1歳年下の関根大輝に続き、近い将来、柏から世界へ羽ばたく選手になるかもしれない。

3位:安藤智哉(DF)アビスパ福岡

センターバックながらすでに2点を奪取。J3の今治時代にもシーズン6ゴールをマークしており、得点力にも定評がある 【(C)J.LEAGUE】

 21年に愛知学院大からJ3の今治に加入して2シーズンを過ごした後、J2の大分トリニータへ移籍。今季から福岡に加わり、初めてのJ1ながら素晴らしいパフォーマンスを見せている。

 190cmの長身を誇るセンターバックで、空中戦の強さはもちろん、足元の技術にも優れる。サイズがあって状況に応じた『蹴り分け』ができるのは魅力だ。6節のFC東京戦ではアディショナルタイムに決勝ヘッド、続く町田戦では長い足を伸ばして同点弾。攻守両面で福岡の躍進を支えている。

2位:レオ・セアラ(FW)鹿島アントラーズ

加入したばかりの鹿島で早くも攻撃の核に。夏場にゴール数を増やす傾向があり、本領発揮はここからだ 【(C)J.LEAGUE】

 刻一刻と変わる状況を瞬時に把握し、ピッチで最適解を出すのが鈴木優磨で、そんな相棒の振る舞いに見事に応えてみせるのが、このブラジル人FWだ。鈴木の質の高さは以前から知られるところなので、企画の主旨に則って、ここでは今季の新戦力を選出した。

 C大阪で実績を十分残してきた選手だが、鈴木という最高のパートナーを得たレオ・セオラはより破壊的なストライカーへと変貌を遂げた。どんな体勢からでもゴールを奪う迫力は、キャリアハイの21得点を刻んだ昨季以上か。

1位:ラファエル・エリアス(FW)京都サンガF.C.

U-20ブラジル代表歴のあるこのストライカーを期限付き移籍から完全移籍に移行できたことこそ、京都にとって最強の補強となった 【(C)J.LEAGUE】

 12節終了時点で首位に立つ京都の強みは強度と走力、そして強力なストライカーの存在だ。昨年夏に加入すると、15試合で11ゴールをスコアし、不振のチームをV字回復させた。

 今季はコンビネーションが磨かれ、さらに凄みが増した。13試合で8ゴール4アシストという圧巻の数字が、その証拠だ。空陸自在でポストワークも巧み。80分からハットトリックを達成して鹿島に逆転勝ちした試合は、後世に語り継ぐべき一戦だろう。今季の主役候補であり、今、最も見ておくべき1人と言える。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

大学卒業後、(株)ベースボール・マガジン社に入社。週刊プロレス編集次長、ワールドサッカーマガジン編集長、サッカーマガジン編集長を歴任し、2022年7月に退社。現在はフリーランスとして活動し、サッカー日本代表、Jリーグのほかスポーツを中心に取材を続けている

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