Jリーグ、春秋制最後の25年シーズンの行方を読む

開幕10試合の活躍度から選定…25年J1でインパクトを放つ「主役」候補10人!

佐藤景

上位を争うチームにあって大車輪の活躍を見せる柏の熊坂光希(左)と浦和の渡邊凌磨。いずれも戦術上欠かせない存在だ 【(C)J.LEAGUE】

 横浜F・マリノスや名古屋グランパスといった名門クラブが下位に沈む一方で、京都サンガF.C.、柏レイソル、アビスパ福岡が躍進するなど、勢力図が塗り替えられつつある25年のJ1リーグ。そんな激動のシーズン序盤において、輝きを放つ10人を選出。覇権の行方を占ううえでキーマンとなり得る彼らのプレーを見逃す手はない(文中の記録は4月28日時点)。

10位:須貝英大(DF)京都サンガF.C.

ピンポイントクロスもさることながら、走力も魅力。今季の総スプリント数は301回で、堂々の1位だ 【(C)J.LEAGUE】

 古都のクラブを上位に押し上げているクロサーだ。前線に強力なFWを擁するチームにおいて、大きな働きを見せている。9節の鹿島アントラーズ戦では左から左足でラファエル・エリアスに浮き球パスを送り、10節の湘南ベルマーレ戦では右から右足クロスで川﨑颯太のヘッドを導いた。

 続く20節の浦和レッズ戦ではボックス内まで進入すると巧みな身のこなしで相手DFをブロックしつつラファエル・エリアスの得点をお膳立て。23年夏から昨季まで在籍した鹿島アントラーズ時代は出番が限られていたが、多彩なアシストでチーム躍進の立役者となっている。

9位:北野颯太(FW)セレッソ大阪

柿谷曜一朗、南野拓実の系譜を継ぐC大阪アカデミー出身のタレント。23年U-20ワールドカップでは日本の10番を担った 【(C)J.LEAGUE】

 今季のJ1開幕戦、ガンバ大阪との大阪ダービーで2ゴールを刻んだ二十歳のアタッカー。速くてうまいプレーで強烈なインパクトを残し、2・3月度の月間ヤングプレーヤー賞も受賞した。

 ここまで12試合のうち11試合で先発。すでに昨季のプレー時間を大きく更新した。主戦場はインサイドハーフで、7節以降はゴールから遠ざかっているものの、パスワークとチャンスメークで攻撃をけん引。チームに欠かせない存在と言っていい。国内組中心で臨むとされる7月のE-1サッカー選手権で日本代表入りが期待される1人だ。

8位:相馬勇紀(FW)FC町田ゼルビア

ウインガーのイメージが強いが、現在はインサイドでもインパクトを発揮。日本代表復帰も現実味を帯びる 【(C)J.LEAGUE】

 昨季途中にポルトガルのカーザ・ピアから名古屋を経て町田に加入したアタッカーが、今季はシーズン序盤からその力を存分に発揮している。2ゴール4アシストという数字もさることながら、浦和戦のように相手が2人がかりで止めにくるケースが散見。存在そのものが相手守備陣を悩ませ、マークの分散やスペースの創出につながっている。

 確実にボールを前進させる突破力とクロス精度はリーグ屈指。相馬がシャドーと左サイドを行き来しながら自由を謳歌すれば、必然的に町田は勝利に近づく。

7位:三浦颯太(DF)川崎フロンターレ

プレーメーカータイプのサイドバック。J2の甲府在籍時の24年1月1日のタイ戦で日本代表デビューも果たしている 【(C)J.LEAGUE】

 フリーキックのキッカーとして2アシストを記録しているほか、深い位置まで進入して出すパスや抑えの効いたライナー性のクロスなど多彩な形で仲間のゴールを導いている。ここまで出場10試合で昨季の記録を上回る5アシストを記録。現時点でランキングのトップに立つ。

 同サイドのマルシーニョとの連係が深まり、攻撃参加→パスレシーブ→クロスという流れがスムーズになった点も大きい。開幕から3戦連続アシストを決めた左サイドバックの働きが、今後もチーム浮沈の鍵になりそうだ。

6位:佐藤龍之介(MF)ファジアーノ岡山

プロ契約を結んだのはFC東京U-18在籍時の23年8月、16歳のとき。若き才能が飛躍のときを迎えた 【(C)J.LEAGUE】

 U-20日本代表の主軸であり、25年はU-20アジアカップとU-20ワールドカップのために長期間、チームを離れる可能性があった。それでもFC東京から岡山へ期限付き移籍を決断。昨季はJ1で3試合に出場したのみだったが、新天地ではすでに7試合でプレー。8節のC大阪戦から出場した3試合で連続ゴールも記録している。

 とりわけ強いインパクトを残したのがサンフレッチェ広島との初の中国ダービー。代表チームではボランチやシャドーを務めるが、岡山では右ウイングバックとして攻守に躍動し、この試合で決勝点をマーク。歴史的な勝利をもたらした。

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著者プロフィール

大学卒業後、(株)ベースボール・マガジン社に入社。週刊プロレス編集次長、ワールドサッカーマガジン編集長、サッカーマガジン編集長を歴任し、2022年7月に退社。現在はフリーランスとして活動し、サッカー日本代表、Jリーグのほかスポーツを中心に取材を続けている

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