“氷上のエンターテイナー”友野一希、五輪シーズンへ新ショートを初披露 プログラムに込めた戦略と思い

沢田聡子

プログラムの準備を終え、気持ちは来季へ

今公演で共演する荒川静香(左端)からアドバイスを受けた友野(左から3人目) 【写真:麻生えり】

 “魅せる”スケーターである友野は、多数のアイスショーで存在感を発揮してきた。プリンスアイスワールド2025-2026は、2023-2024・2024-2025と続いてきたミュージカルの名曲を使う「ミュージカル・オン・アイス」の決定版だが、友野は2023-24シーズンの公演に出演している。

 2年ぶりの出演となるプリンスアイスワールドについて、友野は「大ファン」だと語った。出演者でありながら、観られる部分は全部観ているのだという。

「たくさんいろんなショーに出たからこそ分かる、(プリンスアースワールドでの)群舞でのチームの一体感。さらにミュージカルがテーマになってから、それぞれのスケーターの個性にスポットが当たるような演技も多いです。ゲストである、トップスケーターの皆さんの演技も楽しめます。初めて見るお客さんも、スケートが大好きな皆さんも、全員が楽しめるアイスショーになっているかなと思います。今回またプリンスに出られて、自分自身も出演しながら楽しめています。残りの公演でもいい演技をして、さらにチームの皆さんの演技も楽しみたい」

 そんな友野を、今公演で共演する2006年トリノ五輪金メダリスト・荒川静香は「ベテランの表現者」と評する。

「限りなくプロに近いエンターテイナーであり競技者でもあって、今本当に経験も技術も表現も、すべてが高いところにあると思う。おそらく次のオリンピックシーズンが集大成にさしかかっていくことを考えると、すべてのエネルギーを注ぎ込めるように、オフの時間も充実させていってほしいなと。オフの時間を如何に充実させられたかが、シーズンにかかわっていくと思うので」

 友野自身「もう間違いなく、大切なシーズンになってきます」と力を込める。

「自分の中で、『すべてをかけて臨みたいな』と思っているシーズンなので。早い段階からショート・フリーも振付ができたので、しっかり準備をして、自分の気持ちはしっかり次のシーズンに向かっています」

 今公演では、新ショートを滑り込みたいという。

「僕は、シーズンのスタートが少し遅れたりすることが多いので、そういったことがないように。グランプリシリーズから照準を合わせられるように、競技プログラムをこのショーでどんどん披露して『しっかり体を動かしていこう』という気持ちです」

 今公演のフィナーレで、友野はショートで跳んだトリプルアクセルに再度挑み、着氷させる意地をみせた。浪速のエンターテイナーは、競技者としての覚悟を示す五輪シーズンを迎えようとしている。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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