J1王者・神戸が3連覇へ急浮上中 主力不在で勝ち切った町田戦から見えた「強さ」
そこから東京ヴェルディ(4月12日/神戸1○0東京V)、川崎フロンターレ(4月16日/神戸2○1川崎)に連勝していたが、20日のFC町田ゼルビア戦は「条件」に恵まれなかった。
中6日の町田に対して、神戸は中3日。チーム最多の3得点を挙げているFWエリキは町田からの期限付き移籍で、この試合は契約により出場できない。更に守備の柱マテウス・トゥーレルも不在だった。実際に難しい試合にはなったのだが、神戸は1-0で町田に勝ち切った。
オ・セフン封じの立役者は?
吉田孝行監督は試合後にこう述べている。
「非常にタフでお互いに球際、セカンドボールが強く、締まったゲームでした。相手にオ・セフン選手や相馬(勇紀)選手の個がある中で、全員で守備をしてゼロに抑えたのはチームにとって大きいです。何より3連勝できて本当に良かった」
町田の強みは吉田監督も名前を挙げたオ・セフン、相馬勇紀の二人だ。オ・セフンは194センチと大柄で、攻撃時はロングボールのターゲットになる。トゥーレルの代役として左サイドバック(SB)からセンターバック(CB)に移った本多勇喜は173センチの34歳。この数字を見ればひどい「ミスマッチ」なのだが、本多は空中戦で互角以上に渡り合っていた。
GK前川黛也は無失点の理由をこう説明する。
「本ちゃん(本多勇喜)とテツ(山川哲史)がオ・セフン選手を完璧に抑えて、そこで起点を作らせなかったのは本当に良かった」
左SBに入っていた鍬先祐弥もこう口にする。
「本ちゃんがいなかったら、ダメだったと思うくらいに助けられました。一回オ・セフン選手の二つ上くらいからヘディングを叩いていて『この人、化け物だ』と見ていました」
「MVP級」の活躍を見せた本多
吉田監督はその活躍をこう称える。
「めちゃくちゃ安定感もあるし、抜群のプレーでした。全員が今日のMVPだと思いますが、敢えてひとり挙げるなら本多です」
試合後の本多は高ぶった様子もなく、試合について淡々と語っていた。
「相手にやらせたらそこから流れを持っていかれると思ったので、本当にできるだけ『やらせない』ようにやりました。タカ(扇原貴宏)といい関係性を作れて、タカにもしっかりブロックしてもらえたので、それで僕が先手を取れました」
本多は地上戦でもビッグプレーを見せている。前半アディショナルタイム(45+1分)に藤尾翔太が打ち込もうとしたボレーを、身を挺してブロックした。
彼は「たまたま(ボールが)目の前にありました」とクールに振り返る。
しかし頭上を超えたクロスに対して瞬時に動き直し、シュートコースを消した判断は大正解だった。それが仮に「たまたま」だとしても、試合の結果をかなり左右した場面だったことは間違いない。