35歳で“悲願”を達成! マスターズVのマキロイと2022年W杯を制したメッシの共通点、心を動かすスポーツの力とは

北村収

2025年のマスターズを制したローリー・マキロイと2022年カタールW杯でアルゼンチンを優勝に導いたリオネル・メッシ 【Photo by Richard Heathcote/Tom Jenkins/Getty Images】

「感動した!」、「泣けた!」。2025年マスターズ最終日、SNSはローリー・マキロイの悲願達成に沸いた。ゴルフ界における最高峰ともいえる“キャリア・グランドスラム”。全米オープン、全米プロ、全英オープン、そしてマスターズという四大メジャーをすべて制覇する快挙をついに達成したのだ。

 実に11年ぶりのメジャー制覇。数々の惜敗を重ね、心折れそうな瞬間を乗り越えてつかんだ勝利は、特別な意味を持っていた。その姿は、ある世界的アスリートの歩みにも重なる。2022年、カタールW杯で優勝を果たしたサッカー界の至宝、リオネル・メッシだ。

メジャー制覇から遠ざかっていた天才、ローリー・マキロイ

 マキロイは21歳で出場した2011年のマスターズで、メジャー初制覇が手に届く位置でプレーしていた。最終日を4打リードでスタートしたが、まさかの「80」と大崩れ。チャンスを逃した。その2カ月後の2011年の全米オープンに勝つと、2012年の全米プロ、そして2014年の全英オープンと、立て続けに3つのメジャーを制した。グランドスラム達成のために、残るはマスターズだけだった。

 しかし2014年に全英オープンを制してからが、本当に長い道のりだった。マスターズどころかメジャーに勝てなくなってしまったのだ。聖地セントアンドリュースで開催された2022年全英オープンでは首位タイで最終日を迎えながらスコアを伸ばせず3位に終わった。2024年全米オープンでは最終日の16番ホールで60センチのパットを、最終の18番で1.2メートルのパットを外しブライソン・デシャンボーに僅差で敗れて2位。ビッグタイトル目前で幾度も涙を飲んできた。

キャディの一言でリセットし、プレーオフを制して悲願を達成

 今年のマスターズでは2位に2打差をつけて最終日を迎えたが、1番ホールでいきなりダブルボギー。「緊張していた」と本人も語る立ち上がりだった。

 しかし、2番ホールのティーに向かう途中、数年前にジョン・ラームが初日に1番でダボを叩きながら優勝したことを思い出したマキロイは、「このダブルボギーで逆に緊張がほぐれた」とポジティブに切り替えることができた。

 そこからの巻き返しはさすがだった。3番、4番、9番、10番でバーディを奪い、一時は2位に5打差をつける独走状態に。しかし、またしても悪夢の再現かと思われる“まさかのミスショット”が起こった。13番(Par5)での3打目はピンまで82ヤード。難しいショットではなかったが、クリークに吸い込まれた。このホールをダブルボギーとし、4組前のジャスティン・ローズと11アンダーで並んだ。ローズはその後1つ伸ばし、12アンダーでホールアウト。マキロイは15番でバーディを奪うと、17番でもバーディを奪い13アンダーとして、1打差で最終ホールを迎えた。

 パーなら悲願達成だったが、18番の2打目をバンカーに入れてしまった。1.5メートルに寄せたが、そのパーパットを外してプレーオフに突入した。落ち込む場面だったがキャディの一言がマキロイを救った。「なあ、週の始まり(月曜)に“プレーオフに行けるよ”って言われたら、それはOKだろ?」と声をかけられたという。マキロイも「確かにその通り」と思い、気持ちがリセットできた。

最終日、18番ホールでパーパットを外した直後のローリー・マキロイ 【Photo by Richard Heathcote/Getty Images】

 気持ちを切り替えたマキロイのティーショットはフェアウェイをとらえ、2打目はピン手前1メートル。4.5メートルのバーディチャンスにつけたローズがパットを外し、またしても悲願達成の大きなチャンスが訪れた。短いパットを慎重に沈めたマキロイは膝をついて、雄たけびを上げた!「優勝が決まったときは、安堵感しかなかった。17年もここに来ていて、10年以上の思いが一気に出た。そしてその後に、喜びがやってきた」と振り返った。

 21歳で惜しくも逃したグリーンジャケットを、35歳でついにその身にまとうことができた。

2025年マスターズを制したローリー・マキロイ 【Photo by Richard Heathcote/Getty Images】

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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