週刊ドラフトレポート2025(毎週金曜日更新)

U-18候補合宿で光った投打有望株!今永と重なる貴重な左腕/高校No.1捕手は上位指名も

西尾典文

目指すはプロでの兄弟バッテリー!高校球界を代表する捕手

攻守において成長を遂げている学法石川・大栄はプロ野球で兄・陽斗とバッテリーを組むのが目標と語る 【撮影:西尾典文】

大栄利哉(学法石川 3年 捕手 178cm/85 kg 右投/左打)

【将来像】佐藤都志也(ロッテ)

強肩強打に加えてフットワークの良さも備えたプレースタイルが重なる
【指名オススメ球団】楽天
将来の正捕手候補となる選手が必要
【現時点のドラフト評価】★★★☆☆
上位指名(2位以上)の可能性あり

 U-18日本代表の候補選手強化合宿に招集された野手で最も強いインパクトを残したのが捕手の大栄だ。福島県の出身で、石川義塾中学時代から県内では評判の選手だったという。筆者が初めてプレーを見たのは1年秋に出場した東北大会の対盛岡中央戦だった。4番、キャッチャーとして先発出場した大栄はタイムリースリーベースを含む2安打2打点の活躍。2.00秒を切れば強肩と言われるイニング間のセカンド送球では最速1.84秒もマークしている。さらに8回からはマウンドにも上がり、2イニングを1安打、無四球、無失点の好投でチームの逆転勝ちに大きく貢献した。ちなみにこの時のストレートの最速は141キロという記録が残っている。その後もチームは準決勝まで勝ち進み、昨年春の選抜高校野球にも出場。しかし大栄自身は大会前に自転車乗車中に強風にあおられて転倒し、左足を痛めた影響で初の甲子園は代打での出場という悔しい結果に終わった。

 それから約1年、代表候補合宿で大栄は大きく成長した姿を見せることとなる。まず驚かされたのが初日のフリーバッティングだ。国際大会に合わせてこの合宿では木製バットを使用しており、その対応に苦しむ選手も少なくなかったが、大栄はそんな影響を全く感じさせない強打を披露。打球は度々ライトのフェンスを越えるなど、大学生顔負けのバッティングを見せたのだ。この日の練習後に話を聞くと、3月上旬には代表候補に呼ばれる可能性があるということを聞いて、あらかじめ木製バットでも練習してきたとのことだったが、それでも簡単に対応できるものではない。リストの強さも感じたが、それに頼り過ぎることなく、全身を使って上手くヘッドを走らせることができるのが、木製バットを苦にしない要因に見えた。大きく構えてゆったりとした動きでタイミングをとり、安定したトップの形とスイングのバランスの良さも目立つ。2日目に行われた紅白戦でも2本のツーベースを放ったが、1本目はストレートを強く弾き返し、2本目は変化球を上手く拾ったもので強打だけでなく対応力の高さも見せた。

 そして成長を見せたのはバッティングだけではない。キャッチャーとしてもシートノックから素早い送球を連発。他の捕手と比べてもボールの勢いは明らかに勢いが異なっており、練習でのセカンド送球でも度々1.8秒台のタイムをマークしていた。少しアピールしようという気持ちが強くなってか反動をつける動きが大きく、コントロールがぶれるシーンがあったのは課題だが、しっかりミットを止められるキャッチングや足を使ってワンバウンドを正面で止められるブロッキングも高レベルである。総合的に見ても高校生ではナンバーワン捕手という印象を受けた。

 ちなみに兄の陽斗は仙台育英、中央大で投手として活躍し、現在は社会人屈指の強豪でプレーしている。弟の利哉も投手として140キロ台のスピードを誇るが、プロ野球で兄とバッテリーを組むのが目標と話してくれた。兄は大学4年時に肩を痛めた影響で社会人1年目は登板機会が少なかったが、今年は回復した姿を見せているという。近い将来、大栄兄弟がプロ野球の舞台でともに活躍する姿を見せるのも決して夢物語ではなさそうだ。
*現時点のレベルバロメーター:★の数
5:複数球団の1位入札濃厚
4:1位指名の可能性あり
3:上位指名(2位以上)の可能性あり
2:支配下での指名濃厚
1:育成であれば指名濃厚

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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