5月6日「国立同日開催」に向けてジェフ千葉の男女選手が対談 呉屋がこの大一番でゴールを決めたら何が起こる?
「ジェフユナイテッド国立マッチ2025」と題された大一番は、J2リーグとWEリーグの史上初となる共催。12時開始のWEリーグ(2024-25 SOMPO WEリーグ 第20節)がジェフユナイテッド市原・千葉レディース vs 大宮アルディージャVENTUSの対戦だ。16時開始のトップ(2025明治安田J2リーグ 第14節)ジェフユナイテッド市原・千葉 vs RB大宮アルディージャ)のJ2首位争いに絡む注目カードとなった。
1枚のチケットでどちらも楽しめるのだから、ジェフサポーターはもちろん、大宮サポーターにとっても絶好の観戦チャンスだろう。
今回は「国立マッチ」を記念して呉屋大翔選手、レディースの山口千尋選手に対談をお願いした。二人がそれぞれのチームの魅力、会場の国立、対戦相手の大宮、二人の意外な接点、「ゴールパフォーマンス」の裏話などを語り合っている。ジェフのトップは開幕から6連勝と好スタートを切り、今もJ2首位を快走中。特に呉屋選手が語る「好調の理由」は注目だ。
「大事にしているところ」が共通する両チーム
山口 1回だけですが(クラブハウスの)食堂で「よろしくお願いします」というご挨拶をしました。妹(呉屋絵理子選手・現サンフレッチェ広島レジーナ)と知り合いなんです。
呉屋 ジェフに来たときですよね?妹も「仲がいい」と言っていました。
――補足をすると山口選手は弟(山口卓己選手・現鹿児島ユナイテッドFC)がJリーガーで、呉屋選手は妹がWEリーガーです。呉屋選手はジェフユナイテッド市原・千葉レディース(以下ジェフ千葉レディース)の試合を、山口選手はジェフユナイテッド市原・千葉(以下ジェフ千葉)トップチームの試合を実際にご覧になったことはありますか?
山口 はい。予定が空いていたら、行って見たりしています。
呉屋 僕も何試合か見たことがあって、妹がフクアリに試合しに来たときは見に行きました。
ーージェフ千葉レディースがどんなチームか、印象はいかがですか?
呉屋 丸々1試合を見たわけではないので、戦術的な部分は正直あまり分かっていません。ただ「走る、戦う」みたいなところはありますよね?
山口 あります。
呉屋 だからジェフが大事にしているところは、レディースも変わらないのかなと少し思いました。
――山口選手は今年のジェフ千葉をご覧になりましたか?
山口 1回行っていて、山形戦を見ました。勢いがあるし、誰でも点が取れるし、難しい試合でも勝ちに持っていけるチーム力をすごく感じます。
「大宮」は負けられない相手
呉屋 柏レイソルのときにルヴァンカップの決勝(2020年/呉屋選手は後半途中から出場)でプレーしています。一昨年もジェフと清水エスパルスが試合をしました。だから2試合あります。
――呉屋さんにとって国立はどんなスタジアムですか?
呉屋 ルヴァンの決勝に出たときは、新国立はまだ完成してすぐでしたし、雰囲気がすごく印象的でした。他のスタジアムにはない空気感ですね。陸上トラックを挟んでいるので声は意外と通るのですが、周りの空気感、圧が普通のスタジアムと違います。
――山口さんは国立でプレーしたことがありますか?
山口 私はないです。去年に一度、X-girlのユニフォームの撮影で中に入ったことはありますが、プレーはしていないし、お客でも行ったことがありません。
――サポーターの入った国立は初めてですね。
山口 DAZNとかの映像とかでしかないので、楽しみにしています。
――女子サッカー、WEリーグの選手にとって国立のピッチに立つことは、おそらく貴重な経験だと思います。
山口 (国立開催を)初めて知らされたときは、みんな喜んでいました。一選手としてまず本当に嬉しいです。あと呉屋さんも言ったみたいに、お客さんの感じが独特だし、広いし、人数も多いじゃないですか。だから、どんな感じになるのか本当に楽しみです。
――男子も女子も、対戦相手が大宮アルディージャ(男子はRB大宮アルディージャ/女子は今季まで「RB」が入らない大宮アルディージャVENTUS)です。地理的にも近い相手ですが、大宮との対戦についてはどうですか?
山口 練習試合もよくする相手なので、お互いよく知っています。近しい存在だからこそ、絶対に負けたくない相手でもありますね。
呉屋選手が語るジェフ千葉躍進の理由は?
呉屋 よく監督も言っていますけど、今シーズンは「勝負どころに強い、勝つチームになりたい」というところからが始まっています。少し「現実的」ではないですけど、勝ちに徹するプレーがチームとして去年一昨年より増えていると思います。そういう細かいところが、勝ち点につながっています。
戦術的なところを言うと、全員の守備意識は一昨年にヨシさん(小林慶行監督)が就任してからは確実にありました。結果に出ることによって、それがより増しているというか、精度が上がっているように感じます。ハードワークの「質」が、確実に去年や一昨年より上がっています。
――昨季や一昨季のジェフもきっちりとした、インテリジェンスのあるサッカーをしていたと思います。今年は「徹底する」とか、泥臭さみたいなものが追加されたイメージですか?
呉屋 そうですね。戦術的なことはトレーニングからもちろん色々ありますが最近、試合前に監督がよく言っているのは「ジェフの伝統を全員で体現しよう」という内容です。フクアリのサポーターもそういうものに沸きますし、そういうものを見たくて来ていると思います。毎回のミーティングで監督がそれを伝えて、チーム全員に刷り込まれているのかなと感じています。
――FW目線の話もお聞きします。昨季は小森飛絢選手が23得点を決めてJ2の得点王となり、評価を上げてベルギーのクラブに移籍しました。開幕前は「小森選手がいなくなったから」と不安視されていたと思います。そこはどう感じていましたか?
呉屋 (真顔で)いましたっけ、そんな選手? あれ、山口さんがいない。俺の渾身のボケのときにいなかった……(編注:一時的に山口選手がZoom画面から消えていた)
山口 いや、めっちゃ笑っていました。
呉屋 2シーズン一緒にやっていて、もちろんめちゃくちゃいい選手だとは思っていました。FWとして、点を取っている選手がいなくなるのは、チームとしてシンプルに痛いと思います。でも、みんなもそんなに意識はしていないし、結果を出すことによってそういう(小森選手の移籍でチームが弱体化するという)声はなくなると個人的にも思います。
呉屋選手と妹、山口選手の深い“縁”
山口 めっちゃ面白かったです。
呉屋 実は試合前に家族でちょっとだけ会っていましたが、妹は「あれをやる」とは言っていないです。ただ札幌ドームで自分が落ちたときに、妹のところまですごい連絡が来たと言っていました。
――直後は多分みんな心配していました。
呉屋 僕もめちゃめちゃ連絡は来ました。でもあのタイミングで点を取るのは俺から見ても「持っている」なと(笑)
――ゴールを決めなければパフォーマンスもできませんね。
呉屋 しかも、会ったときには「今年はなかなか試合に絡めていない」「いつまでやるか」みたいな話もしていたんです。「そんなことを考える前に、まず目の前のことやろうよ」と励ましました。それで、しっかりゴール取っていたのでシンプルに「すごいな」と感心しました。
――山口さんは呉屋絵理子選手と広島で一緒にプレーしています。
山口 絵里子は一言で言うなら「いい奴」って感じです。同い年で、なんなら中3くらいから知っていています。
呉屋 そうなんや。
山口 トレセンも一緒だったので、結構長い付き合いです。
呉屋 兵庫出身なんですか!?(呉屋選手は兵庫県出身)
山口 九州ですけど、ナショナルトレセン(全国から有望選手が集めて行われる合宿)で部屋が一緒でした。それで知っていて、写真を撮った記憶もあります。