モドリッチを激昂させた一言と急浮上したトレード話の現実味 多くの話題を提供する久保にまつわる噂の真相
ラ・マシアの同期とのトレード話が急浮上
スペインメディアの『カルペタス・ブラウグラナ』が、久保が絡んだ“歴史的トレード”の可能性を報じたのだ。
記事によれば、かつてバルセロナのユース組織“ラ・マシア”で、「2001年組」と呼ばれた同期の久保とエリック・ガルシア(バルサ)のトレード案が浮上し、これにバルサのハンジ・フリック監督がゴーサインを出したという。
結論から言ってしまえば、可能性はゼロとは言わないが、限りなくゼロに近いだろう。確かにソシエダのイマノル・アルグアシル監督は、昨年からE・ガルシアを獲得したがっていたし、実際に昨夏の市場でもオファーを送っている。
ただし、E・ガルシアを欲しがっているのはソシエダだけではない。国内では昨シーズンのレンタル先だったジローナが熱心で、この冬のマーケットでもバルサに再獲得を打診したのだが、フリック監督の強い希望で残留となった経緯がある。
バルサでスタメンの座を確保できていないとはいえ、フリック監督がE・ガルシアを高く評価しているのは明らかだ。
「エリックは選手としても人としても素晴らしい。私が自分のチームに置いておきたいタイプの選手だ」
そんな賛辞まで送っている。実際、年明け以降は出番を増やしており、直近のラ・リーガ第31節・レガネス戦でも先発起用されると、前半は守備的MFとして、後半はセンターバックとしてプレーし、1-0の勝利に貢献。この過密日程において、E・ガルシアのポリバレントな才能が重宝されている。
かたやソシエダでは、アルグアシル監督の来季続投が報じられていたなかで、先週末にアルグアシル本人が「まだ(去就を)決めていない」と発言。来シーズンから強化担当者が変わることもあり、今後の補強戦略が読めない状況にある。
バルサの主力との差は数字が残酷に……
前述の『カルペタス・ブラウグラナ』の記事には、「久保は今のバルサのシステムに完璧に当てはまる」と書かれているが、彼がバルサでスタメンをつかみ取るのは容易ではない。仮に移籍すればレギュラー争いをすることになる選手たちとの差は、数字が残酷に示している。
今シーズンの久保の公式戦通算成績は、45試合/7得点・4アシスト(出場時間2944分)。これに対して、たとえば久保よりも2歳若いフェルミン・ロペスは、36試合/5得点・9アシスト(1530分)と、およそ半分のプレータイムで倍以上のアシスト数を記録している。
久保と同じウインガーの2人に関しては、桁違いだ。絶好調のラフィーニャは47試合/28得点・22アシスト(3834分)、17歳の神童ラミン・ヤマルは45試合/14得点・21アシスト(3694分)。バルサでこのポジションに求められるのは、ゴールに関与する圧倒的な力だ。もちろん、ロベルト・レバンドフスキやペドリのようなサポーティングキャストに恵まれれば、久保の数字も伸びるはずだが、果たしてここまでやれるかどうか……。
またウインガーについては、昨夏に一度はあきらめたニコ・ウィリアムス(アスレティック・ビルバオ)の獲得を再び試みるとの報道もある。ちなみにニコの今シーズンの成績は、41試合/10得点・7アシスト(2859分)。なんと言っても、スペイン代表でヤマルをはじめバルサの多くの選手とプレーしているのは大きなアドバンテージで、プライベートでも仲が良いというピッチ外の要素も彼の獲得を後押しする。
むしろE・ガルシアがソシエダに移籍し、久保とのコンビ再結成のほうに現実味はありそうだが、しかしここで足かせとなるのは、ソシエダが第31節終了現在で9位と来シーズンの欧州カップ戦出場圏外に沈んでいることだ。
フリック監督からの信頼が高まりつつあり、スペイン代表への返り咲きを狙うE・ガルシアが、チャンピオンズリーグはおろかヨーロッパリーグにも参戦しない(可能性が高い)ソシエダに、果たしてやって来るだろうか。
欧州カップ戦の出場権を獲得できるか否かは、チームはもちろん、選手の将来も大きく左右する。ラ・リーガも残り7節。運命の歯車が、ここからさらに激しく動き始める。
(企画・編集/YOJI-GEN)