【カーリング】男子は一騎打ちの代表決定戦→出場権争いに 26年五輪逃したチーム・選手はそれぞれの道へ

竹田聡一郎

TM軽井沢の両角友佑と松村雄太。“カルピス柄パンツ”と呼ばれた独創的なユニホーム同様、5選手がそれぞれ個性の強いチームだった 【著者撮影】

今年12月の五輪最終予選へ向けて

 カーリング男子の世界選手権がカナダ・ムースジョーで行われ、日本代表のSC軽井沢クラブは5勝7敗の9位で大会を終えた。

 残念ながらクオリファイ(プレーオフ進出)や来年のミラノコルティナ五輪出場枠獲得は叶わなかった。

 フォースの栁澤李空は上位進出ができなかったことについて「順位的にはランキング通りになってしまったというか、上位を食いつぶせなかった。最終予選に向けて格上のチームと張り合っていく力をもっとつけていかないといけないというのを改めて思い知らされました」と語ったが、最終予選とは12月にカナダ・ケロウナで開催される五輪最終予選だ。その出場権をめぐって、9月にSC軽井沢クラブとコンサドーレで代表決定戦(稚内市みどりスポーツパークカーリングホール)を戦う。その勝者が五輪代表候補チームとして最終予選に挑むことになる。

日本代表として戦ったSC軽井沢クラブの栁澤李空と山口剛史。「アグレッシブに攻めてみたり、戦略の幅は広げられた」と栁澤 【著者撮影】

TM軽井沢、両角兄弟の来季は?

 逆に言えばその2チーム以外は2026年五輪への道は絶たれてしまったわけだが、その去就について動きがあった。

 4月14日にTM軽井沢が「今後の活動に関するお知らせ」と題してチームのSNSを更新。チームとしての活動に今季限りで区切りをつけ、新たに「TM軽井沢プロジェクト」としてカーリングには関わっていくこと、そして松村雄太の競技引退などを伝えた。

 TM軽井沢は平昌五輪後、2019年に両角友佑、両角公佑、岩井真幸、宿谷涼太郎の4選手で発足。2020年の日本選手権では準優勝を果たした。2022年に松村を加えて現在の体制となり、2023/24シーズンには国内外でツアー3勝を挙げるなど世界と渡り合える可能性を秘めたチームに成長してきただけに、難しい決断だっただろう。

 2月の日本選手権で敗退した際に松村雄太は「正直、身体は辛いところはある」とシーズンを通したメンタルやコンディション維持の難しさを挙げながら「競技に対して今はいろいろなアプローチがある」と新たな可能性を模索するような談話を残していた。

 平昌五輪の経験者でチームの大黒柱である両角友佑は、五輪への可能性が途切れたことについては「ひとつの区切りが終わった」としながらも、自身のプレーについて「下手ですし、まだまだ練習でうまくなる部分は全然ある」と断言した。来季は中部電力のコーチを務めながらミックスダブルスなどに挑戦し、競技継続していく。日本選手権敗退時にはスーパースピナーを決めて会場を盛り上げるなど千両役者っぷりを見せつけた。

 弟の両角公佑も同様だ。「私自身は2030年オリンピックを目指して努力を続けていきます」とコメント。来季以降の活動に注目が集まる。将来的に同じチームで活動するのかどうかは未定だが、両角兄弟のアイスでの姿を待望するファンは多い。

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著者プロフィール

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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