オーガスタのワナにはまった松山英樹とマキロイ 佐藤信人プロが注目する「マスターズの難しさ」との神経戦
今季好調のマキロイにのしかかる重圧
彼は現在の世界ランク1位、スコッティ・シェフラー選手を強く意識していて、会見などでも「彼のようなプレーを」というコメントをしています。その言葉通り、今シーズンは果敢な攻めよりもシェフラーのような手堅くスキのないプレーを重視して、すでに2勝を挙げています。今日も攻めすぎないプレーで、危なげなく4アンダーまでスコアを伸ばしていました。問題の15番パー5も、ティーショット、第2打ともに気持ちよさそうに振りぬけていた。さすがの彼でも止められないくらいグリーンが硬く、ボールが奥にこぼれてしまいましたが、それも短い番手で手前の池に落とすリスクを冒すよりも妥当な選択肢だったように感じました。
あの奥からのアプローチについては、パトリック・カントレーなども2回続けて池に落としていました。昨年のハリケーン被害でグリーンを新しくしたホールのひとつで、例年よりも硬く感じたという声が出ています。マキロイのアプローチについても、狙い通りに打てたけど想定よりもボールが止まらなかった、という可能性もあるので、仕方ない気もします。ただいずれにしても、取り返したいという気持ちが強まったのか「シェフラー流」の意識が少し弱まって、17番の第2打は攻めすぎてしまったように見えました。アプローチが寄せられない方向にグリーンを外してしまってのダブルボギーは痛恨でした。
マキロイには「好調な今年こそキャリアグランドスラムを」と例年以上に期待が寄せられています。そうした重圧の中で、初日に生まれた嫌なイメージ、心理的なダメージをどう払拭していくか。彼の「マスターズの難しさ」との戦いに、2日目以降も注目したいと思います。
一歩抜け出したローズはじめ上位は役者がそろう
首位にはジャスティン・ローズが立ちました。44歳になり、出場試合数を減らすようになっていますが、その中でも昨年の全英オープンで2位に入るなど大舞台では相変わらず強い。いかにも英国紳士というイメージですが、実はライダーカップやTGLで垣間みせるような情熱的な一面を持っている選手で、だからこそ第一線で戦い続けられるのかなとみています。
連覇を狙うシェフラー、昨年2位のルードヴィッヒ・アベルグが3打差の2位。ハットン、デシャンボーのLIVゴルフ勢が4打差の5位と、上位には役者がそろいました。個人的には5打差7位のアクシャイ・バティアに注目しています。オーガスタと相性がいいと言われる左利きの選手で、初日も素晴らしいプレーをみせていました。
ここ20年のデータには、優勝した選手の大半が初日トップテン圏内だった、というものもあります。ローズ以下の上位選手が優勝候補とみて、いったんはよい気がします。
一方で、今回はローズだけが飛び出した状況ではあるので、7打差27位のマキロイ、8打差38位の松山選手にも、可能性は残っているとも思います。ただ、初日17番のマキロイのように、無理に攻めに出ればワナにはまるのがオーガスタです。慎重にプレーしつつ、差を埋めるために攻めにも出なければならない。残り3日間、難しい判断が求められ続けることにはなると思います。