オーガスタのワナにはまった松山英樹とマキロイ 佐藤信人プロが注目する「マスターズの難しさ」との神経戦
12番ボギーで流れが変わった松山英樹
ティーショットは、打った瞬間にギャラリーから歓声が上がるほどピンに真っすぐ飛びましたよね。わずかにキャリーが足らずに手前のバンカーに入ったけど、そこからの第2打目も素晴らしかった。1メートル程度について、これはいいパーセーブだなと思いました。本人もあれを外すというのはあまり考えていなかったんじゃないかと思います。
もちろん、油断をしている様子はまったくありませんでした。慎重にラインを読んで、ルーティーンを省くこともなかった。だからこそ、流れが変わったというのはあるかもしれません。これが2メートル以上残っていたり、なんらかの外す原因が明らかにあったほうが、かえってショックは残りにくかったという仮説も立つような気がします。
13番パー5で、第3打がピンに当たって跳ね戻り、手前の小川に落ちてしまったこと自体は、ただただ不運だったと思います。あのアプローチ自体は本当に素晴らしかったので。ただ、12番のボギーとあいまって、終盤になるにつれ「ひとつでも取り返しておきたい」という流れにつながっていったというのはあるかもしれません。18番の短いバーディーパットが外れてしまった場面も「絶対に決めておきたい」という状況が乗っかって、難しさが生じていたところはあるような気がします。
もちろん、グリーンに対する根本的な苦手意識、みたいなものではないと思うので、明日のラウンドまでには基本的には切り替えられるものだとは思います。ただ、どれくらい悔やんでいるかによっては、優勝争いに絡んできたときなどにあの外したパットを思い返してしまう可能性もあります。
いたるところにワナがあるオーガスタ・ナショナルで4日間を戦っていくと、こうしたイメージが積み重なり、心を削られていくことになります。本当に大変な大会だと思いますが、その点でいえば、松山選手にはその大変さを乗り越えて優勝した経験がある。これは大きなことです。