オーガスタのワナにはまった松山英樹とマキロイ 佐藤信人プロが注目する「マスターズの難しさ」との神経戦

塩畑大輔

初日はショートパットで流れをつかみ損ねた松山英樹 【Photo by Andrew Redington/Getty Images】

 4月10日(木)に開幕した「マスターズ」(ライブ配信はU-NEXT独占、放送は地上波TBS系列、BS-TBSでは4日間連日生中継)。2度目の優勝を狙う松山英樹は1オーバー(暫定38位タイ)と出遅れたが、2日目以降の挽回は可能か? 今季好調のロリー・マキロイや連覇を狙うスコッティ・シェフラーなど上位選手を中心に、佐藤信人プロに初日の感想を聞いた。

12番ボギーで流れが変わった松山英樹

12番、グリーン手前のバンカーから好位置に寄せるも… 【Photo by Andrew Redington/Getty Images】

 松山英樹選手は12番のボギーが分水嶺になったかなと感じました。前半は本当に素晴らしい立ち上がりでスタートからパーが続きましたが、7番パー4でバーディーを先行させて、パー5の8番と連続でスコアを伸ばせた。9番パー4で危ない場面もありましたが、そこもナイスパーでしのぎました。本当に良い展開だっただけに、12番でのボギーが痛かったです。

 ティーショットは、打った瞬間にギャラリーから歓声が上がるほどピンに真っすぐ飛びましたよね。わずかにキャリーが足らずに手前のバンカーに入ったけど、そこからの第2打目も素晴らしかった。1メートル程度について、これはいいパーセーブだなと思いました。本人もあれを外すというのはあまり考えていなかったんじゃないかと思います。

 もちろん、油断をしている様子はまったくありませんでした。慎重にラインを読んで、ルーティーンを省くこともなかった。だからこそ、流れが変わったというのはあるかもしれません。これが2メートル以上残っていたり、なんらかの外す原因が明らかにあったほうが、かえってショックは残りにくかったという仮説も立つような気がします。

 13番パー5で、第3打がピンに当たって跳ね戻り、手前の小川に落ちてしまったこと自体は、ただただ不運だったと思います。あのアプローチ自体は本当に素晴らしかったので。ただ、12番のボギーとあいまって、終盤になるにつれ「ひとつでも取り返しておきたい」という流れにつながっていったというのはあるかもしれません。18番の短いバーディーパットが外れてしまった場面も「絶対に決めておきたい」という状況が乗っかって、難しさが生じていたところはあるような気がします。

 もちろん、グリーンに対する根本的な苦手意識、みたいなものではないと思うので、明日のラウンドまでには基本的には切り替えられるものだとは思います。ただ、どれくらい悔やんでいるかによっては、優勝争いに絡んできたときなどにあの外したパットを思い返してしまう可能性もあります。

 いたるところにワナがあるオーガスタ・ナショナルで4日間を戦っていくと、こうしたイメージが積み重なり、心を削られていくことになります。本当に大変な大会だと思いますが、その点でいえば、松山選手にはその大変さを乗り越えて優勝した経験がある。これは大きなことです。

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著者プロフィール

1977年4月2日茨城県笠間市生まれ。2002年に新卒で日刊スポーツ新聞社に入社。サッカーの浦和レッズや日本代表、男子ゴルフ、埼玉西武ライオンズなどの担当記者を務める。2017年にLINE NEWSに移籍し、トップページの編成やオリジナルコンテンツ企画を担当。note、グノシーをへて、2024年7月からU-NEXTに所属。

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