大阪桐蔭に投げ勝った大型右腕がさらに成長/圧倒的なスピードと強肩!代表候補合宿でも高評価
過去2回に続いて今回も選抜高校野球に出場した選手から。将来性が光る大型右腕の長崎蓮汰(滋賀学園)と、抜群のスピードと強肩が魅力の藤森海斗(明徳義塾)について紹介します。
秋は大阪桐蔭から完投勝利、選抜でも着実な成長を見せた大型右腕
【将来像】山崎颯一郎(オリックス)
細身だが悪いクセの少ないフォームとボールの角度は高校時代の山崎と重なる
【指名オススメ球団】オリックス
細身の高身長投手を上手く育成している実績から
【現時点のドラフト評価】★☆☆☆☆
育成であれば指名濃厚
石垣元気(健大高崎)、阪下漣(東洋大姫路)など前評判の高かった投手が故障で本調子ではなかった今年の選抜高校野球だが、一方で昨年からの成長ぶりを見せた投手がいたことも確かだ。その筆頭と言えるのが2季連続での甲子園出場となった滋賀学園のエース、長崎である。大阪の出身で中学時代は豊中リトルシニアでプレー。滋賀学園でも昨年春には背番号1を背負ったが、夏は調子を落として甲子園での登板はなかった。その悔しさもあってか秋には不動のエースへと成長。その名前が一躍有名になったのは近畿大会でのことだった。1回戦で優勝候補と見られていた大阪桐蔭を相手に9回2失点、自責点1で完投勝利をあげて見せたのだ。この試合も現地で見ていたが、終盤の勝負どころでも強気に攻める投球が強く印象に残っている。ただ体つきはまだまだ頼りなく、ストレートは130キロ台中盤がアベレージと物足りなさも残ったことは確かだ。
そして迎えた選抜高校野球。チームは初戦で浦和実に0対3で敗れて早々に姿を消すことになったが、3点のうち2点は不運なタイムリーによるものであり、長崎の投球自体には大きな成長の跡が感じられた。まだまだ細身ではあるものの、昨年秋と比べると上半身も下半身もたくましくなり、フォームの安定感もアップした印象を受ける。ストレートも立ち上がりからコンスタントに140キロ前後をマークし、この日の最速は142キロを計測。高い位置から腕が振れるためボールの角度も申し分なく、コーナーにしっかり投げ分けることができていた。プロのスカウトが投手を評価する時にボールの“ライン”がしっかり出ていると言うことがあるが、長崎のストレートもそう表現できるだけのものがあったように感じた。これは昨年秋までの投球には見られなかったことである。体幹の強さが出てきたことで、腕の振りとリリースが安定したことは大きな成長だ。
一方でまだ物足りないと感じたのが下半身の使い方だ。左足を上げてステップする前に軸足の膝が折れるのが早いく、体重移動する時にどうしても重心の上下動が大きくなりやすい。ステップの幅もまだ狭く、上半身の力と腕の振りで何とかカバーしているように見えた。ただそれでも致命的な欠点というわけではなく、下半身をしっかり鍛えていけば解消される可能性は高いはずだ。また大型でありながらリリースの感覚が良く、緩急をつけるカーブなど緩い変化球を上手く操れるのも持ち味である。
現時点ではまだ支配下での指名となると微妙な印象だが、ここから夏に向けてもう少しレベルアップできればさらに評価が上がることは間違いない。選抜での悔しさをバネに、夏にはまた一回り大きくなった姿を見せてくれることを期待したい。