代表戦での久保の酷使にスペインメディアが恨み節を…… “FIFAウイルス”に侵される選手とクラブの苦悩
森保監督も救いの手を差し伸べては……
それは、久保建英とレアル・ソシエダにとっても、もちろん無縁の話ではない。
3月20日、日本代表はワールドカップ(W杯)アジア最終予選のバーレーン戦に勝利し、早々と本大会出場を決めた。久保がその試合で1得点・1アシストの活躍を披露したことはスペインでも取り上げられ、「久保がゴールとアシストで日本のワールドカップ出場の立役者になる」(ノティシアス・デ・ギプスコア紙)、「タケ・クボに導かれた日本が最初の予選突破国に」(エル・デスマルケ紙)、「クボこそワールドカップだ」(アス紙)といった具合に、様々な現地メディアが久保を褒めちぎった。
スペインの感覚では、こうした目覚ましい働きをした選手は労い、次の試合では休ませるのが通例だ。出場させるにしても、状況を見て後半からの投入が一般的だろう。
ところが久保は、バーレーン戦から中4日のサウジアラビア戦でもスタメン起用された。ソシエダの本拠地サン・セバスティアンの地元紙『ノティシアス・デ・ギプスコア』は、「久保に休戦なし:再びスタメン、日本(代表)と62分間」というタイトルを打ち、「レアル・ソシエダのアタッカーは、ワールドカップ行きのチケットが確定しているにもかかわらず、サウジアラビア戦でスタメン出場を強いられた」と報じた。
さらに、「森保(一)監督がレアル・ソシエダに救いの手を差し伸べてくれなかったことは確か」「サイドの2人、センターフォワードなど多くのアタッカーを(バーレーン戦から)変えたのに、久保だけは例外だった」と恨み節を炸裂させ、こう結論付けている。
「長い遠征から帰ってきた久保は、4月1日にサンティアゴ・ベルナベウでのレアル・マドリー戦(スペイン国王杯準決勝第2レグ/第1レグは0-1で敗戦)が控えているだけに、帰国から2日後のバジャドリー戦(ラ・リーガ第29節)でプレーするのは難しいだろう」(結局その予想は当たらず、久保はバジャドリー戦で81分までプレー)
代表戦のジャッジはまさに「魔女狩り」
ラ・リーガのジャッジは基本的に久保への敬意に欠け、彼に対する悪質なファウルを流すケースがしばしばだが、それよりも酷いのが代表戦を捌くレフェリーのジャッジであり、「まさに魔女狩り」とそのレベルの低さを皮肉った。
さらに、現在の日本代表の布陣についても言及。ミケル・レカルデ記者は、「3-4-2-1システムで(トップ下の)久保は右に開き気味でプレーしているが、同時に中央に走り込む自由度がとても高いシステムでもあるため、結果として身体的な負担が大きくなっている」と指摘している。
過密日程、長距離移動、クラブとは異なるシステムでのプレー、基準が曖昧なジャッジ……代表クラスのトッププレーヤーたちが、FIFAウイルスに苦しめられている。交代枠が3人から5人に増えたことで、多少は選手の負担も軽減されたのかもしれないが、誰をいつ休ませるかは代表監督次第。試合が始まってしまえば、当然ながらクラブ側のコントロールが及ぶところではない。