バドミントン山口茜、挑戦の先に見えた新たな光 全英OPで示した“スピード制限”の戦い方
右足ふくらはぎの痛みにより、24年12月の全日本総合選手権1回戦を途中棄権して以来の復帰戦。どれくらい動けるのか確認しながらの戦いになったが、それでも、準々決勝では日本の次期エース候補として注目を集める宮崎友花(柳井商工高→ACT SAIKYO)に競り勝ち、準決勝ではパリ五輪女王のアン・セヨン(韓国)に善戦。力があることを示した。
相手の逆を突くフェイントを徹底した理由
山口は「どうしても(今の状態では)急には動けない。(打たれると)届かない部分がたくさんある。その中で(相手が打つ前に)自分の配球や予測によって、ラリーを作らなければいけない部分がすごく多かった。(逆を突いても)決めきるところまでは難しかったけど(相手の反応を遅らせることで)自分の時間を稼ぐことが大事だったので、そこをメインにやっていました」と戦い方の選択理由を明かした。
例えば、サービスレシーブの場面は特長的だった。普段なら、ロングリターンで相手をコートの後方に下げて時間を作ることもできるが、負傷箇所の回復状況に自信が持てないため、高く上げて強打を打たれてしまうと、対応できない。だから、低い球で逆を取るための駆け引きを徹底していた。
スピード制限の戦いから得た収穫
ただ、収穫と感じた点はあったという。スピードを落とした中で、相手に主導権を取らせない戦い方ができたことについては「普段は、自分から崩して点数につなげることをベースとして意識していますけど、今回は相手にミスをさせたり、とりあえず自分が返球できる球を打たせたりというイメージ。(普段のプレーで)点数を取りにいく、(今回のようなプレーで)点を取られないという部分は、普段から、もうちょっと使い分けてもいいのかなと思いました」と振り返った。一方で、ラリーの中で、ここでもう一歩動ければ、もう一つテンポを上げられれば点を取り切れると感じたことで、スピードの使い方を再確認できたことも良かった点だという。