週刊ドラフトレポート2025(毎週金曜日更新)

センバツ出場選手のドラフト評価は? 巨人・丸を彷彿とさせる名門センター、強打が自慢の大型二塁手

西尾典文

U-15侍ジャパンにも選出、強打が自慢の大型セカンド

昨年よりさらに体格が良くなった蝦名。課題は守備面のレベルアップか 【撮影:西尾典文】

蝦名翔人(青森山田 3年 二塁手 183cm/89kg 右投/右打)

【将来像】紅林弘太郎(オリックス)

強打が魅力でプレーのスピードと送球の強さが出てくれば紅林のようになれる可能性も
【指名オススメ球団】楽天
スケールの大きい若手右打者が不足しているチーム事情から
【現時点のドラフト評価】★★☆☆☆
支配下での指名濃厚

 選抜では初戦で敗れたものの、昨年春から3季連続の甲子園出場となった青森山田。旧チームから出場している選手は多いが、その中でも抜群のスケールで注目を集めているのがセカンドの蝦名だ。青森県の出身で、小学校6年時には年末に行われている12球団ジュニアトーナメントで東北楽天イーグルスジュニアに選出。青森山田シニアでもU15侍ジャパンとしてプレーしている。昨年夏の甲子園では4試合で3安打に終わったものの、ツーベース2本、3打点と勝負強さを見せてチームの準決勝進出に貢献。秋の新チームからは不動の4番となっている。

 迎えた今年の選抜高校野球。チームは初戦で沖縄尚学に3対6で敗れて早々に甲子園を去ることになったが、それでも大器の片鱗を見せたことは確かだ。プロフィールの183cm・89kgという数字を見ても分かるように昨年と比べて一回り体が大きくなっており、大きい構えでいかにも長打が出そうな雰囲気が漂っている。そして体格とパワー以上に目立つのがリストワークの巧みさだ。2回の第1打席では沖縄尚学先発の末吉良丞(2年)が投じた142キロのストレートを強烈に弾き返してレフト前ヒットを放ったが、打ったのは内角高めの厳しいコースであり、並みの打者であれば詰まってしまうようなボールだった。相手バッテリーも大型打者は内角の速いボールに弱点があることを考えて攻めているように見えたが、蝦名の技術がそれを上回ったと言える一打だった。体が大きくなっても決して力任せになることなく、スイングのバランスも良い。続く第2打席には変化球を5球続けられて空振り三振に倒れたが、それも相手バッテリーの警戒度の強さがよくうかがえるものだった。第3打席ではきわどいコースの変化球をしっかり見極めて四球を選んでおり、選球眼の良さも持ち味である。

 一方で課題と感じられたのが打撃以外のプレーだ。4回の守備では一・二塁間の打球に追いついたかのように見えたが捕球できずにライト前ヒットとしている。昨年の選抜でショートを守っていたときは足のさばきも軽快に見えたが、体が大きくなったこともあってか少し守備の動きはスピードが落ちているように見えた。またその後にも二遊間の打球に逆シングルで追いついたものの、体を切り返しての送球に強さがなく、内野安打としている。どちらも決して簡単な打球ではなかったことは確かだが、ドラフト候補としては見せ場と言えるプレーだっただけに、守備面はレベルアップが必要だろう。また第4打席での併殺打での一塁到達タイムも4.57秒と平凡なものだった。チームを指導する兜森崇朗監督も試合後には「名前ばかりが先行しているけど、攻守ともにまだまだです」と話していた。

 ただそれでもこれだけ大型でパワーに頼り過ぎることなく、打撃の形が安定している大型内野手というのは貴重な存在である。選抜での悔しさを胸に夏はさらにスケールアップした姿を見せてくれることを期待したい。
*現時点のレベルバロメーター:★の数
5:複数球団の1位入札濃厚
4:1位指名の可能性あり
3:上位指名(2位以上)の可能性あり
2:支配下での指名濃厚
1:育成であれば指名濃厚

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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