今日からF1開幕!フェルスタッペンと角田は厳しい戦いを強いられる?

柴田久仁夫

シーズン中には見せないリラックスした表情の、バーレーンテストでのフェルスタッペンとノリス 【(c)Redbull】

一発でもロングランでも最速なのはマクラーレンだった

 今週末のオーストラリアGPを皮切りに、F1世界選手権2025年シーズンがいよいよ幕を開ける。今季の見どころは、大きくふたつ。チャンピオンは五連覇を狙うマックス・フェルスタッペンか、それともランド・ノリス、あるいはルイス・ハミルトンなのか。そしてもうひとつは5年目のF1を迎えた角田裕毅が、どれほどの活躍を見せてくれるかだ。

 しかし開幕直前のバーレーンテストの結果を見る限り、フェルスタッペンと角田の今季は決して楽観視はできなさそうだ。

 まずフェルスタッペンだが、新車RB21の戦闘力に大きな疑問符がついている。今年のバーレーンテストは、中東とは思えない例外的な寒さと雨にたたられた。そのため各チームの序列は、いっそうわかりにくい3日間だった。とはいえそんな状況でも確実に言えそうなのが、「マクラーレンは今季も最速マシンである」ということだ。

 一発のタイムこそ、オスカー・ピアストリ8番手、ランド・ノリス13番手にとどまった。しかしこれはあくまで、二人ともアタックラップを行わなかったから。F1公式サイトFormula1.comは、「MCL39は予選最速のマシンであり、2番手のフェラーリのSF-25に0.21秒差をつける」と予想している。

レッドブルRB21は失敗作なのか

フェルスタッペンはテスト最終日でもスピンを喫していた 【(c)Redbull】

 ロングランでのマクラーレンは、さらに強力だった。二日目のノリスはきっちり3セットのタイヤを使っての、本番さながらの53周のレースシミュレーションを行った。そのペースはレッドブルやフェラーリなど、他のトップチームの追随を許さないものだった。

 一方フェルスタッペンも最終日にロングランを敢行し、ノリスからコンマ1〜2秒程度の差につけた。Formula1.comはロングランの平均ペースについて、「トップはマクラーレン。レッドブルは2番手で、0.15秒落ち」と分析する。しかしこの日のフェルスタッペンのロングランは10周前後のスティントを小刻みに繰り返したもので、レースシミュレーションとは言い難い。

 さらに深刻なのが、レッドブルの3日間の周回数が全10チーム中最低だったことだ。458周をこなしてトップだったメルセデスより150周以上、距離にして800km以上も少なかった。開幕直前の1回限りの貴重なテストの機会に、レッドブルは十分な走り込みができなかったということだ。

 トラブルで走れなかったのなら、まだ仕方がない(それも問題ではあるが)。しかしレッドブルの場合は、セッティングの調整でガレージにこもっている時間が長かった。

 開発の総指揮を取るテクニカル・ディレクターのピエール・ワシェは、「(昨年型)RB20の最大の問題は、セルジオ(ペレス)はもちろんのこと、マックスでさえマシンの性能を最大限引き出すのに手こずったことだ。なのでRB21の開発では、運転のしやすさを何よりも念頭においた」と語る。

 しかし期待したような安定した挙動とはほど遠く、最終日の午後になっても空気の流れを可視化するフロービズをつけて走らせ、それでもバランスは改善せず、フェルスタッペンはスピンを喫していた。

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著者プロフィール

柴田久仁夫(しばたくにお) 1956年静岡県生まれ。共同通信記者を経て、1982年渡仏。パリ政治学院中退後、ひょんなことからTV制作会社に入り、ディレクターとして欧州、アフリカをフィールドに「世界まるごとHOWマッチ」、その他ドキュメンタリー番組を手がける。その傍ら、1987年からF1取材。500戦以上のGPに足を運ぶ。2016年に本帰国。現在はDAZNでのF1解説などを務める。趣味が高じてトレイルランニング雑誌にも寄稿。これまでのベストレースは1987年イギリスGP。ワーストレースは1994年サンマリノGP。

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