【横浜清陵】都市部の県立校が初の甲子園に挑む 「自治」を重視(神奈川県)
センバツ制した経験のある指揮官 特色あふれる練習
チームは「可能な限り、生徒の『自治』によって活動することが望ましい」という共通認識を持っており、選手たちで練習メニューなどを考えて運営をしている。
その代表例が、「部門」だ。「打撃」「内野手」などでリーダーを決め、週に1度、リーダー同士が話し合って1週間の練習メニューを作成。「食事」「親睦」などのリーダーも存在する。
また、アンケートで独自の練習を尋ねると、「電流イライラ棒スイング」「神経作りシャドウ」などユニークな名称のメニューが並んだ。他部とグラウンドを共用しており、練習時間やスペースに制約がある中での工夫が実り、昨秋は強豪ひしめく激戦区を勝ち上がって神奈川県で8強入り。県勢の公立校では1997年の横浜商以来の甲子園出場を決めた。
2000年にセンバツを制した東海大相模でメンバーだった野原慎太郎監督がチームを率いる。頂点の景色を知る指揮官のもと、自主性に満ちた選手たちが夢舞台に挑む。
都心へのアクセス良好 プロ選手との触れ合いが思い出に
正捕手で中軸の高山大馳選手は、DeNAの「山崎康晃投手のスパイクをもらったこと」を挙げ、「トレーニング」部門でリーダーを務める赤塚祐斗選手も、元DeNAの石川雄洋選手のバッティング手袋をもらったことが印象に残っているという。他にも「(巨人の)坂本勇人選手と話したこと」(秦野一颯選手)「プロ野球の始球式を横浜スタジアムで投げた」(西田昊志朗選手)などの回答があった。野球以外でも、太田竜暉選手はプロボクシングで井上尚弥選手との死闘でも知られる「ノニト・ドネア選手と握手」したことを挙げた。
野球を始めたきっかけは、家族や友人の影響と答えた選手が多かった。中には、「家族でロッテの試合に行って好きになったから」(進藤泰晟選手)という回答も。将来の夢は「未定」の回答が多く、次いで「スポーツ関係の仕事」。その他は全体的にばらけた結果となった。同校では、公務員試験に対応するカリキュラムが設置されており、2人が「公務員」と回答し、「消防士」と「教師」がそれぞれ1人いた。