【壱岐】全員が「島育ち」 玄界灘沖に浮かぶ離島から、聖地へ挑む(長崎県)
中学時代に活躍した黄金世代がけん引
チームを引っ張るのは、中学時代に軟式で全国大会や九州大会に出場したメンバー。島内では「壱岐の黄金世代」と呼ばれる。
投打の柱は、右腕・浦上主将だ。昨秋の公式戦は5試合に登板して1完封。130キロ前後の直球にカーブやスライダーなどで緩急をつけ、打たせてとる。計26回あまりを投げて与えた四死球はゼロと制球力も高い。
圧巻の投球を見せたのが、長崎県大会の準々決勝。昨夏の甲子園に出場した創成館を相手に7安打を打たれながらも粘り強く投げ、完封してみせた。4試合に登板した山口廉斗選手や、中学時代に長崎県選抜でエースを務めた日高陵真選手も控えており、継投も視野に入れる。
浦上主将は打線でも中軸を任され、昨秋の公式戦では打率4割超とチームを引っ張った。遊撃手の山口選手は打率3割超で、チーム最多に並ぶ4盗塁をマーク。チームで本塁打こそ出なかったものの、盗塁などを絡めて粘り強く得点につなげる。チームは全体練習の半分以上を守備に充てており、7試合で4失策と堅守も光った。
島内の財産を強化に活用
失敗やミスを人のせいにする空気を変えるため、3年生12人全員に役職を与えた。バッテリー、守備、走塁などの各担当でリーダーを設け、各担当長が練習の取り組みなどを考え、成果にも責任を持たせた。内野の連係などを担当するリーダーの山口選手は、「自分だけが理解して終わりでは伸びなかった。課題を全員で理解し、指摘や共有をすることで成長できた」と意義を強調する。
浦上主将は「粘り強い野球で島の人に甲子園で勝つ姿をみせたい」。初めて立つ甲子園で躍動するイメージはできている。