【壱岐】全員が「島育ち」 玄界灘沖に浮かぶ離島から、聖地へ挑む(長崎県)
試合会場まで片道数時間…逆境乗り越え
魏志倭人伝や日本書紀にも登場し、古くから海上交通の要衝として知られた壱岐は、玄界灘沖に浮かぶ離島。その大きさは南北約17キロ、東西約15キロで、九州本土には、飛行機で30分、佐賀や福岡へは、フェリー・高速船で1時間以上かかる。公式戦や練習試合では会場までのバス移動も含めると片道だけで数時間を要し、試合に向けたコンディションを整えるのも一苦労だ。私立の強豪の多くで完備されている室内練習場や野球部専用のグラウンドもなく、練習も平日は放課後の2時間。土日も午前中の4時間と限られている。
そんな多くの制約を乗り越えてつかんだ甲子園で、対戦したい相手として最も多く名前が挙がったのは、昨秋の明治神宮大会を制した横浜。センバツ連覇を狙う健大高崎のエース・石垣元気投手との対戦を熱望する選手も多かった。九州大会で大敗を喫したエナジックスポーツとの再戦を望む声もあった。
島ならでは? 趣味は「釣り」 空手の「黒帯」のエース
将来の夢では、消防士を挙げた安原奨弥選手など半数が公務員と答えた。エースの浦上脩吾主将と岩本篤弥捕手のバッテリーは、どちらも「教師」を目標に掲げた。前田蒼太選手は、「巨人の1軍ベンチに入ること」と夢をふくらませた。「プロ野球選手」と答えた久保田選手は、野球を始めたきっかけに、福岡ソフトバンクホークスへのあこがれを挙げた。
四方を海に囲まれた環境だからか、趣味を「釣り」と答えた選手も多かった。坂本徹監督が「壱岐の韋駄天」と呼ぶ辻田万翔選手は「ランニング」だった。野球以外のスポーツ歴では、浦上主将が「空手(黒帯)」と答えた。