新しいヒロイン2025《97期生・前田 羚菜》

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前田 羚菜 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

2025シーズンがまもなく開幕する。最終プロテストの難関を突破した97期生が希望を胸にデビューを待つ。2024年の総受験者は695人、合格率はおよそ3.7パーセントだった。今年、羽ばたく26人を紹介する。

まえだ・れいな=2005年12月5日、大阪府藤井寺市出身

奈良育英高3年だった23年、前田羚菜は初めてプロテストを受けたが、合格どころか第2次予選すら突破できなかった。「自分としては目一杯努力してきましたし、20位までなら入れるでしょうと、どこか甘く考えていたところがあったと思います」。10歳からゴルフを始め、気がついたらプロを目指していたという。全国大会にも出場し、23年の関西高校ゴルフ対抗戦では団体、個人の部で優勝を飾っている。通学時間に往復3時間ほど要したが、毎朝1時間15分の朝練と放課後5、6時間の練習は欠かさなかった。さらに、2カ月に1度の割合で中嶋常幸が主宰するトミーアカデミーの合宿にも参加した。

「プロテストに落ちたときは本当にショックでしたね。あれだけやったのに第2次予選で落ちてしまうなんて…。1カ月ぐらいはまともに練習できなかったです」。同じゴルフ部で切磋琢磨した同学年の上久保実咲が合格していたこともさらに精神的ダメージを上乗せした。

一時はゴルフを辞めたいとさえ考えたが、同学年の選手らがプロの世界で頑張っている姿を見ると、自分も同じステージで戦いたいという思いが弱気な心を上回った。「もう一度プロテストに向かって全力で頑張ってみよう」。もちろん、闇雲にボールを打ち続けても合格できる保証はない。まずは合格した上久保からどのような練習、心構えでプロテストに臨んだのか、話を聞いてみることにした。

前田 羚菜 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

「自分がいかに甘かったのか思い知らされました。彼女はその年のプロテストに合格できなかったら、ゴルフを辞めるという気持ちで臨んでいたんです」。それほどの覚悟があれば、練習での1球に対する重みも変わってくる。もちろん、プロテストを受験する選手の多くはそういう気持ちで臨んでいるし、前田にしても例外ではなかったはずだ。ただ、1打を争うシビアな状況では、今まで以上にメンタルの強さを求められることを改めて認識できた。

「もうこれ以上努力することは無理という限界まで自分を追い込んでみよう」。高校卒業後は毎朝午前5時前には家を出て、ゴルフ場へ向かう。打球練習、ラウンド、ショートゲームの練習を日が暮れるまで行い、帰宅後にトレーニングをこなしてから、再びドライビングレンジへ向かうという日々を送った。「ハードな練習をやり遂げたことで自信もつきましたし、昨年のプロテストには自分は絶対に合格するという気持ちで臨むことができました」。初めて臨んだ最終プロテストでは第1日に70をマークして首位タイでスタート。その後、一度も20位以下に落ちることなく14位タイで4日間を終えた。

前田 羚菜 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

しかし、QTファイナルステージでは93位に終わり、プロの厳しさを早くも知ることになる。「さすがにこのレベルになると気持ちだけでは通用しませんし、実力不足を痛感しました」と語るが、前田には大きな武器がある。身長171センチから繰り出されるドライバーショットだ。平均飛距離260ヤードはJLPGAツアーでもトップクラスに値する。「ただラフに入ってしまうことが多いので、シーズンオフはショットの方向性をもっと上げる練習をしたいです。できればショートゲームも磨き、パー5で確実にバーディーを奪えるようになりたいですね」。粗削りだが、今後に向けて大きな可能性を秘めていることは間違いない。まずは、今季の主戦場となるステップ・アップ・ツアーで経験を積み重ね、JLPGAツアーで戦うための足場を固めていく。(山西 英希)
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