アルコールは「少量でもがんリスク高める」。消化器内科医も警告する理由

MELOS -メロス-
飲酒は、食道がんや大腸がんの発症リスクを高めると言われています。喫煙を併用する場合、リスクはさらに増加します。

まきこ胃と大腸の消化器・内視鏡クリニックの消化器内科医師の視点から見た『アルコールのがんリスク』について紹介します。

【MELOS】

アルコールが原因となるがんの種類「食道がん」

毎年10万人あたり35人(男性30人、女性5人)が新たに診断されるがんの一つが「食道がん」です。

食道がんは、男性に多く見られることが特徴で、日本では主に「扁平上皮がん」と「腺がん」の2つに分類されます。日本人の食道がんの90%以上は扁平上皮がんが占めています。

●食道扁平上皮がんとは
食道扁平上皮がんは、口腔から食道まで連続する扁平上皮細胞ががん化したものです。そのため、食道がんはしばしば頭頸部がん(咽頭がんや喉頭がんなど)と重複して発生することがあります。

さらに胃がんや大腸がんとの重複も珍しくありません。

このような背景から、当院では胃カメラ検査の際、内視鏡スコープが通過する喉の粘膜も念入りに観察し、食道がんの早期発見に努めています。

アルコールが原因となるがんの種類2「大腸がん」

大腸がんは、盲腸、結腸、直腸に発生するがんを指します。

国立がん研究センターによると、1日のアルコール摂取量の平均が23gを超えると大腸がんになりやすく、さらには男性の大腸がん患者さんの約1/4が、適量を超えるアルコール摂取(1日あたり23g以上)が原因で大腸がんになったと考えられるそうです。

ビールの中ジョッキ2杯でアルコール26gとなり、『23g』というのは決してすごく多い印象ではありません。

【MELOS】

大腸がんの多くは、放置された大腸ポリープから発生するとされています。とくに、大腸ポリープはサイズが大きくなるほどがん化のリスクが高まります。

中でも、将来的にがん化する可能性が高いポリープは前がん病変と呼ばれ、小さいポリープの段階で切除することが大腸がんの予防に繋がります。

「少量のアルコールは体に良い」も怪しい

アルコールは遺伝的な体質の違いで、より少量のアルコールで害の出やすい方もいます。以前言われていた「少量のアルコールは体に良い」という通説を否定する研究結果も多くあります(※1)。

「これくらいは大丈夫」と毎日飲み続けず、楽しむときは楽しむが普段は禁酒するなどメリハリをつけて節酒するように心がけるのがポイントです。

(※1)
国立がん研究センターがん対策研究所 飲酒とがん全体の発生率との関係について
国立がん研究センターがん対策研究所 飲酒とがんリスクについて

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