男子バレー“新世代”の筆頭格・水町泰杜 ビーチとの「二刀流」で臨むSVリーグでの挑戦

田中夕子

徐々に増える出場機会

監督、チームメイトの評価も高い 【写真提供:SV.LEAGUE】

 だが、それでも見せる時は見せるし、やる時はやる。それが水町という選手だ。

 最初の証明は、前述のサントリーサンバーズ大阪と大阪ブルテオンの開幕戦翌日、10月12日の東京グレートベアーズとの開幕戦。劣勢の第1セット終盤にリリーフサーバーとして投入され、2本のサービスエースを含む見事なサーブで逆転。チームのストレート勝ちにも大きく貢献した。

 徐々に出場機会を増やし、WD名古屋のホームゲーム開幕節となった10月20日のジェイテクトSTINGS戦にも途中出場。ヴァレリオ・バルドヴィン監督も「ビーチバレーから戻り、チームに参画するためのいいステップになった」と評価し、翌週の10月26日の大阪ブルテオン戦ではスタメンに抜擢された。

 フルセットの末に敗れ、水町自身は「5セット目の序盤、ムキになって打ったボールをシャットされた。冷静になりきれなかったことが課題」と自己評価は厳しいものだったが、今季からWD名古屋に加わったセッターの深津英臣は水町の可能性と、誰もが持ちうるものではない武器を、高く評価する。

「彼が持っているスター性、勝負強さは練習しても身につけられるものではなく、生まれ持っているもの。僕は何十年もバレーボールをやっていますけど、そういう選手はあんまりいない。年齢関係なく引っ張っていく、勝たせる気持ちを出せる選手で、すごいものを持っているので、自信を持ってやり続けてほしい選手です」

同世代のライバルたちも躍動中

VC長野の工藤(写真)も「水町世代」の注目株 【写真提供:SV.LEAGUE】

 エースとして最後に託されるポジションを担い続けてきた。勝敗は自分が決めるか否か、というべきポジションで「打ちきれないと自分の責任だと感じていた」と言うが、深津だけでなく、キャリア豊富な選手に囲まれる今は、水町にとっても新たな気づきを得る時期でもある。

「自分が決められないと申し訳ないと思うし、そういう表情をしてしまうんですけど、周りの人がすごく励ましてくれるし、ニミル(アブデルアジズ)からは『チームで戦っているんだから、ごめんはいらない』と怒られるんです。だからたとえ1本ミスをしたり、止められたとしても次、次、と自分のやるべきことを考えてやらなきゃ、と学ばされています」

 うまくいくことや、いかないこと。これまでとは違う立場や役割に悩んだり、新たな楽しさを見出す。水町と同じ経験を重ねるルーキーたちは他にもまだまだたくさんいる。

 SVリーグ男子だけでも、東レアローズ静岡の山田大貴、ジェイテクトの藤原直也、VC長野トライデンツの工藤有史、飯田孝雅、東京グレートベアーズの後藤陸翔、伊藤吏玖。スパイカーだけでなくリベロにはJTサンダーズ広島の高木啓士郎、東レの武田大周、ヴォレアス北海道の荒尾怜音。これほど同世代に集まるか、と驚かされるほどの数の個性豊かな選手たちがコートで躍動している。まだまだ他にも、リリーフサーバーやリザーブから出場機会をうかがう魅力あふれる選手たちがたくさんいる。

 わずか1年前には全日本インカレで日本一を争っていた選手たちが、今度はSVリーグでしのぎを削る。大化けする選手もいて、来年の今頃は「水町世代」ではなく新たな「〇〇世代」が誕生しているかもしれない。

 いずれにせよ、ルーキーたちの挑戦も、新たな楽しみも、まだまだ始まったばかりだ。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。著書に『高校バレーは頭脳が9割』(日本文化出版)。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)、『青春サプリ』(ポプラ社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など女子アスリートの著書や、前橋育英高校硬式野球部の荒井直樹監督が記した『当たり前の積み重ねが本物になる』『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』(カンゼン)などで構成を担当

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