ファンを黙らせ、流れをつかんだ「大谷の球音」 2試合連続本塁打でWS進出へ王手【NLCS第4戦】
「この俺と勝負するつもりなのか?」
6打数4安打4打点、1本塁打と大暴れのムーキー・ベッツ。大谷翔平が勝負を避けられても、ドジャースにはベッツがいる 【Photo by Daniel Shirey/MLB Photos via Getty Images】
大谷を敬遠して、露骨にベッツとの勝負を選択したわけではないが、大谷が歩いた後の打席で、ベッツはことごとくヒットを放ち、本人は認めないものの、強い気持ちが働いていたように映った。デイブ・ロバーツ監督が、その思いを代弁している。
「本当は、“この俺と勝負するつもりなのか?”と思っているのではないか。個人的には、イラッとしたはずだ」
そんなベッツを大谷は塁上からどうみていていたのか? そう聞かれた大谷は、「ただただ、楽しい」と答えている。
「状態が良さそうですし、彼がヒットを打ったら、僕自身は一塁からでも二塁からでもホームに帰るつもり」
数字以上に安定していた山本由伸
NLCS第4戦に先発した山本由伸。4回1/3を投げて2失点と、その役割を果たしてリリーフ陣につないだ 【Photo by Drew Hallowell/MLB Photos via Getty Images】
初回、2番のマーク・ビエントスに同点ソロ本塁打を許したが、二回までに5奪三振。三回は連打を許した後、併殺崩れの間に1点を与えてしまったが、安心して見ていられた。
空振りは16。空振り率は40%で、スライダー、カーブ、スプリット、カッターの空振り率はいずれも50%だった。19人と対戦し、初球ストライクは14人。これまで、打たれるときは、カウントを悪くしてというケースが多かったが、どんどんストライクを先行させ、有利なカウントで勝負していた。
唯一、危なかったのは三回。一旦は、併殺により、無失点で切り抜けたかと思われた。しかし、リプレイ検証の結果、一塁の判定がセーフに変わった。
一度、切った集中力。再びスイッチを入れなければいけない。その時点ではまだ4対2。一、三塁に走者がいて、次のスターリン・マルテにタイムリーを許せば、流れを失いかねない。
山本自身も、「流れをすごく左右する場面だったと思う」と話したが、「とにかく落ち着いて次の打者を抑えよう」と言い聞かせ、気持ちを切り替えた。
結果はショートゴロ。オフェンスの流れを呼び込んだのが初回の大谷のホームランなら、投手では、山本があそこで追加点を与えなかったことで、その後の0封を呼び込んだ。
LCSのMVPは誰に?
大谷は明日、勝ち切るつもりだ。
「敵地で昨日、今日といい野球ができていると思うので、それをしっかり継続して明日につなげたい。明日しっかり決める、そういう気持ちを持って、全員で頑張りたい」
ちなみに明日勝った場合、誰がリーグチャンピオンシップシリーズのMVPなのか?
打率5割、2本塁打、12打席連続出塁のプレーオフ記録を作ったマックス・マンシーか。打率.412、チーム最多7打点のエドマンか。2本塁打の大谷か。第5戦で先発するジャック・フラーティが第1戦に続いて好投すれば、彼もまた候補だろう。
現時点では「大谷だ」と、あるベテラン記者。
ドジャースが第5戦で決めるなら、誰がどんなパフォーマンスをするのか。それも見どころとなりそうだ。
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