薔薇一族の新世代、2歳ダート王の登竜門に挑む 兵庫ジュニアGPに5連勝中“北のネクストスター”も参戦

スポーツナビ

11月22日に園田競馬場で開催される兵庫ジュニアグランプリ、未来のダート短距離スターはここから現れる 【提供:兵庫県競馬組合】

 第25回兵庫ジュニアグランプリが11月21日(水)、兵庫県の園田競馬場1400mダートを舞台に行われる。本レースはJRA所属馬と地方所属馬が争うダートグレード競走で、格付けは2歳限定戦では唯一のJpnIIレース。12月に行われる2歳ダート王決定戦・JpnI全日本2歳優駿に向けたステップレースであり、地元勢にとっては兵庫の2歳ナンバーワン決定戦・園田ジュニアカップを見据える上でも重要な一戦となる。

 過去の歴史を振り返ると、これまでの24回中JRA馬が20勝、地方所属馬が4勝。直近でもJRA勢が6連勝中と、2歳戦においてもJRAと地方のレベル差には開きがある。また、過去5年の勝ち馬を見ると、2018年デルマルーヴル、19年テイエムサウスダン、21年セキフウ、22年オマツリオトコと、3歳・古馬になっても引き続き重賞で勝利、あるいは連対する好走を見せ、20年デュアリストも重賞でこそ成績を残せていないが、オープン特別を3勝するなど現在もダート戦線で活躍している。ここから分かる近年の傾向としては、JRAから兵庫ジュニアグランプリに参戦し、かつ勝利を収められる馬は単なる早熟馬ではなく、今後のダート戦線を引っ張る存在となり得る素質馬でもあるということだ。

 では今年も未来のダート短距離戦線を担うスター候補生は現れるのか、そして強力JRA勢を打ち負かす地方の星は誕生するのか、出走予定馬の紹介と合わせて展望していきたい。

芝重賞勝ちのゼルトザーム、砂でこそ本領か

 まず、JRA所属馬の中から注目したいのは函館2歳ステークスの勝ち馬ゼルトザームだ。芝の重賞ホースがこの早い時期にダートに転身することを意外に感じるかもしれないが、もともと同馬はダート1000m戦でデビューして快勝。続く2戦目が芝の函館2歳ステークスだったわけだが、このレースは時計のかかる重馬場の中での勝利であり、ここからもゼルトザームという馬はスピードよりもパワーで勝負するタイプであることが想像できる。それだけに良馬場の芝1400mで行われた前走の京王杯2歳ステークス11着は度外視していいだろう。

 また、ゼルトザームの父ヘニーヒューズの産駒からは、モーニン(16年フェブラリーステークス)、ワイドファラオ(20年かしわ記念)、アランバローズ(20年全日本2歳優駿)をはじめJRA、地方を問わずダート重賞の勝ち馬が続出。この兵庫ジュニアグランプリの勝ち馬もケイアイレオーネ(12年)、セキフウ(21年)の2頭が出ており、この父の特徴を受け継いでいるのであれば、やはりダートでこそ本領発揮だろう。

 加えてゼルトザームの母系はローザネイを祖とする名門・薔薇一族。祖母ローズバド(01年オークス2着などGI・2着が3度)、伯父ローズキングダム(09年朝日杯FS、10年ジャパンカップ)、いとこのスタニングローズ(21年秋華賞)など、この一族は芝での活躍馬が多いが、多様性の今の時代を象徴するように薔薇の新世代ゼルトザームがダート戦線で大輪の花を咲かせることになるかもしれない。

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砂で2戦2勝サトノフェニックスとイーグルノワール

 ゼルトザームと同じヘニーヒューズ産駒がもう1頭、JRAから参戦。こちらはデビューからダートで2戦2勝のサトノフェニックスだ。6月の阪神1200mを3馬身差で快勝すると、距離を延ばして臨んだ9月の阪神1400mヤマボウシ賞ではゲートで出遅れる不利がありながら、最後は力強く伸びて連勝を決めた。この2戦を見ても分かる通り、末脚は重賞でも勝負になる威力だが、主戦の和田竜二によるとまだまだ粗削りで、道中も左に逃げる面があるという。それが小回りの園田でどう影響するかがカギだが、そこは鞍上の確かな手腕に期待したい。

 イーグルノワールもダートでは2戦2勝の実績。デビュー戦は芝を使ったものの末脚一息で4着に敗れたが、2戦目からダートに転じて一変した。芝では切れ味不足だった分、力の要るダートでは追えば追うだけ伸びるという競馬で、未勝利、1勝クラスのプラタナス賞と2戦続けて上がり最速タイムをマーク。さらに名牝スキーパラダイスの母系という血統面からもまだまだ奥がありそうな素質馬だ。不安があるとすれば1400mという距離。1700m、1600mで勝ち上がってきた分、この距離短縮がどう出るかだが、デビュー戦からスタートセンスが良い馬だけに前半で置かれるようなことはなさそうだ。
 また、JRA関東馬のオーキッドロマンスはダート初挑戦ながら、芝の京王杯2歳ステークス3着などスピードはここでも上位。同じく関東馬タリスマンはイーグルノワールと同じくダートで良さが出た1頭。未勝利戦とはいえ前走の東京1400mの勝ちっぷりが鮮やかだっただけに、格上挑戦のここでも侮れないか。

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