「MVP級」の活躍だった豪代表FWデューク ハードな日程でもタフにプレーし、J2町田の窮地を救う
デューク(中央)は12日の仙台戦で今季10点目を決めてシーズンを締めた 【(C)FCMZ】
替えの効かない「柱」があるとするなら、それはミッチェル・デュークとエリキの外国籍FWコンビだった。
J2制覇の立役者に
エリキは期待に応えて、出場30試合で18得点を記録している。ただ8月19日の第31節・清水エスパルス戦で、左膝に全治8カ月の重傷を負ってしまった。屈強で周りを生かせるデューク、俊敏でフィニッシュの質が高いエリキは相性も抜群だったが、そんな最大の攻め手がチームから失われてしまった。
しかし町田はこの窮地で踏みとどまった。一時的な減速はあったものの、11月12日のベガルタ仙台戦を3-1で制し、5連勝でシーズンを締めた。42試合で積み上げた勝ち点は87で、2位・ジュビロ磐田と12差。『魔境』とも称される近年の混戦J2では珍しい独走優勝だった。
泥臭く、真面目で、ひたむき
プレーへの姿勢で監督や仲間に感銘を与えていた 【(C)FCMZ】
黒田監督は仙台戦後の会見で、デュークの貢献をこう称えている。
「得点をそんなに取るより、チェイシングで相手に圧力をかけて、チャンスメイクをするタイプというデータがありました。ただやはり、エリキがいなくなってから、個人としての責任感からか、『俺が引っ張っていく』という姿勢が出ました。ゲームキャプテンをやらせたこともあったんですけど、いい言葉を選手たちに投げかけていました。今日も運動量を落とさず、しっかりと帰陣してまたプレスをかけたり、やるべきことを徹底してやってくれて、こういった展開にもなった。すごくチームに大きな貢献をした選手だと改めて思います」
2点目の起点となるパスをデュークに送った太田宏介もこう述べる。
「あれだけ泥臭く真面目に、ひたむきにやってくれる外国人選手はなかなかいません。(デュークの貢献は)10点以上の価値があると思います」
チームを助けつつ決めた10得点
32歳の今はヘディングシュートを最大の強みとしている彼だが、プロの試合で頭のゴールを初めて決めたのはAリーグWSWでプレーしていた27歳。清水時代はサイドハーフとして起用されていて、89試合で3得点しか挙げていない。良くも悪くも『生粋の点取り屋』というタイプではない。
仙台戦の2点目はデュークがこぼれ球を叩き込む形だったが、その直前に太田宏介のパスを受けたデュークが左サイドにヒールで落とし、さらにゴール前へ動き直すお膳立てをしていた。デュークは直接ゴールに絡むだけでなくその1つ前、2つ前、3つ前のプレーに絡めるタイプだ。
最終戦を終えたデュークは、満足そうな表情でこう口にしていた。
「最終戦を勝利で終えられて本当に良かった。しっかり走って、空中戦で勝って、仲間をしっかりサポートできたことが一番良かった。もちろん得点ができたことも良かったです」
シーズン全体のパフォーマンスについてはこう述べる。
「開幕前の目標が10得点10アシストでした。実際は10得点6アシストで、アシストは届きませんでしたが、ほぼ目標通りの数字を残せて嬉しいです。1年間チームにしっかり貢献ができたと思います」