フィギュアスケートGPシリーズ展望 宇野、坂本ら男女シングルとも層の厚い日本勢が世界のライバルと競う
表現を追求する宇野、高難度構成のマリニン
昨季グランプリファイナルで初の金メダルを獲得した宇野(中央) 【写真:ロイター/アフロ】
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ジャンプ構成では世界一の高難度を誇るのが、イリア・マリニン(アメリカ)だ。昨季は9月の大会で史上初めて成功させた4回転アクセルを武器に、ファイナルと世界選手権で銅メダルを獲得、上々のシニアデビューを果たした。今季も10月上旬のジャパンオープンで4回転アクセルを成功させており、グランプリ初戦となる第1戦スケートアメリカでは回避することを明らかにしたものの、今後構成に加える意向も示している。第3戦フランス杯にもエントリーしているマリニンが、世界の頂点にどこまで近づけるか注目だ。
韓国のエースであるチャ・ジュンファンは、華やかな表現力と名門クリケットクラブで磨いたスケーティングを武器とする。一昨季は四大陸選手権で優勝、昨季は世界選手権で銀メダルを獲得して、名実ともに世界トップクラスのスケーターとなった。今後は韓国で練習することが明らかになっているジュンファンは第2戦カナダ大会と第5戦フィンランド大会に出場、昨年は逃したファイナル進出を狙う。
昨季ファイナルで銀メダルを獲得した山本草太は、今季は新たなイメージのショートと、伸びやかなスケーティングが映えるフリーを用意した。シーズンオフのアイスショーで得た自信を、競技会でも生かしたいところだ。第2戦カナダ大会、第4戦中国杯にエントリーしており、再びファイナルで雄姿をみせることを期待したい。
本格的にシニアデビューした昨季にファイナル進出、また四大陸選手権を制した三浦佳生には勢いがある。挑戦的なショートを既に自分らしく滑りこなし、またフリーではスピードを爆発させる三浦が安定した滑りをすれば、昨年は5位に終わったファイナルで雪辱を果たせるだろう。ポテンシャルの高さに期待がかかる三浦は、第2戦スケートカナダと第5戦フィンランド大会に出場する。
シニアデビュー以降怪我に苦しんできた佐藤駿だが、昨季はファイナルに進出、また四大陸選手権でも銅メダルを獲得し、ようやく本来の力を発揮した。今季も10月上旬のフィンランディア杯で大技の4回転ルッツを成功させており、好スタートを切っている。表現力にも磨きをかけるジャンプの天才・佐藤は、第1戦スケートアメリカと第5戦フィンランド大会にエントリーしている。
昨季全日本選手権で銅メダルを獲得、代表の座を勝ち取った世界選手権でも6位と健闘した友野一希。「浪速のエンターテイナー」と呼ばれ、アップテンポの曲調を得意としてきたが、今季はショート・フリー共に深みのあるプログラムを用意した。一味違う友野の演技は、第2戦スケートカナダと第4戦中国杯で披露される。
ステファン・ランビエールコーチの下、スイスで鍛錬を積んできた島田高志郎は、昨季の全日本選手権で2位に入り初めて表彰台に立っている。昨季四大陸選手権出場、オフのアイスショー出演と貴重な経験を積んで今季を迎え、第3戦フランス杯と第5戦フィンランド大会に出場する。
また、昨季は左足首の怪我のためグランプリシリーズを欠場した北京五輪銀メダリスト・鍵山優真が、新たな強さを身につけて帰ってくる。ジャンプを跳べない間も表現力の強化に取り組み、9月の東京選手権では風格すら感じさせる演技で優勝した。世界トップクラスの高得点を出す力を持つ鍵山は、第3戦フランス杯と第6戦NHK杯にエントリーしている。