夏の地方大会で必見のプレーヤーは誰か？　用意したのは、チームではなく選手にスポットを当てた企画、「プレーヤーランキング」だ。今回は兵庫編。ドラフト上位指名候補と言われる堀柊那（報徳学園）、坂井陽翔（滝川第二）以外にも有望株が少なくない。兵庫大会で注目すべき10人の顔ぶれは？

　2年生ながら伸びのあるストレートを投げる右の本格派。2種類のスライダーも駆使し、打者を見ながら厳しいコースもうまく使い、凡打の山を築く。

　最近は球威もつき、春までは130キロ台後半だったストレートが、140キロ台を計測することもしばしば。「フィジカル面がもっと強くなれば、さらに伸びていくと思う」と、投手育成に定評がある中尾修監督が太鼓判を押す。何よりピンチでも動じず、強気に腕を振れる強心臓ぶりも槙野のセールスポイントだ。

　「いつも最後まで残って自主練習をしている。取り組みが素晴らしい」と北垣賢高監督が絶賛する扇の要は、元々は遊撃手で、肩の強さを買われ昨秋より捕手に転向した。インサイドワークが良く、相手の表情を見ながら動きを読む独特の嗅覚も持つ、まさに“チームの頭脳”。3月以降、打撃不振に陥ったが、6月に入り逆方向にも長打が出るようになった。

　小野は今春センバツの近畿地区の21世紀枠候補だったが、惜しくも選出されず。今夏は自力で悲願の夏の聖地を見据える。その中心が市橋だ。

　春先は130キロ台半ばだったストレートが、最近は140キロに迫るほどスピードがつき「夏の大会では140キロに乗ってくるかも」と福村順一監督は話す。何より188センチの長身から繰り出されるボールの角度も手伝って、なかなか打ちづらい。

　実戦経験を積み、最も成長したのは打者との駆け引きができるようになったこと。「相手を見ながら力の出し入れができるようになったし、ギアの上げ下げを考えながら投げられるようになった」と指揮官。大化けの可能性を秘めた伸び盛りの右腕だ。

　今春の県大会では報徳学園戦で6回を投げ2安打無失点と好投。最速142キロのストレート、カットボールなどを丁寧に投げ、三振も奪える。1年秋から公式戦のマウンドを経験してきたが、ゲームメイク能力が高く、当時からコントロールの良さが目を引いた。

　184センチ・84キロの恵まれた体格はポテンシャルの高さを感じさせ、まだまだ右肩上がりで成長曲線を描いていきそうだ。同じく下級生時からマウンドに立った同校OBの中森俊介（ロッテ）を超える右腕となるか。

　春の県大会の準々決勝でピッチャーライナーが右ひざに直撃して大怪我を負ったが、今は完全に回復。ストレートは6月下旬に自己最速の144キロをマークし、さらにスライダーのコントロールが良くなり、縦に割れるカーブも有効に使えるようになった。怪我の間に熱心に取り組んだ上半身のトレーニングの影響で上体の力強さもついた。

「怪我したことをプラスに捉えて、夏は津嘉山（憲志郎）1人に負担をかけないようにしたい」と語気を強める。「安定感はチームで1番」と青木尚龍監督からの信頼も厚い。