日本代表再始動を前に森保監督が語る青写真と新コーチへの期待「戦術オプション」「プレーモデル」…菅原由勢、中村敬斗ら新戦力の招集も?
「バリエーションとオプションを増やすことは不可欠」
三笘がブライトンで輝けるのもチームとして攻撃の組織が構築されているからこそ。日本代表でもより生かせるようにしたい 【Photo by Stuart Franklin/Getty Images】
「例えばポゼッション率に関して、(カタールW杯の)スペイン戦で言うと、相手が8、我々が2くらいでしたよね。それを7対3、6対4と、FIFAランクひと桁台の国やW杯優勝国に対して、ポゼッション率を少しずつ上げていけるようにしていきたい。名波コーチや前田コーチともそこは共有していて、彼らが攻撃の構築の中心として、チームにいろいろなことを働きかけてくれると思います。
我々には、スピードのあるアタッカーがいます。素早い攻撃を仕掛けられるウイングを起点にして攻撃する部分においては、W杯の舞台で相手の脅威となる攻撃ができることを示せたと思うので、さらに前線のアタッカーの攻撃力を生かせるように、中盤での組み立てをレベルアップできればと思います」
さらに指揮官は、今後のチーム作りにも言及した。そのひとつが戦術オプションの増加とブラッシュアップである。
カタールW杯では4-2-3-1、4-1-4-1、3-4-2-1、5-2-3などのシステムを準備していたが、相手や状況に合わせてより柔軟に使い分けられるチームを目指す。
「プランA、B、Cと、状況によって戦い方のオプションや引き出しを多くすることが重要。カタールW杯でも4バックから3バックにしたり、システム論なんですが、組織的に戦いながら個のマッチアップをしていった。そういうバリエーションやオプションを増やすことが本番では必要不可欠で、勝つ確率を上げるために絶対にやっていかなければいけないと学べたので、さらに増やしていけるようにしたいと思います」
「主体性」「対応力」といった言葉は聞かれなかった
ウルグアイ協会が3月2日に発表した候補メンバーには、R・マドリーのMFバルベルデ(写真)らW杯メンバーが名を連ねた。正式発表は日本と同じ15日 【Photo by Richard Sellers/Getty Images】
「チーム戦術であったり、ポジションごとの役割や繋がりをより整理していくことで、選手たちがスムーズに相手よりも一歩早く動けるようにする。そこは我々スタッフがやっていかなければならない部分だと思います。
どこまでプレーモデルを確立させられるか分からないですが、チーム戦術の中で選手個々が役割を持って、スムーズに連係・連動していけるように、という部分はより考えてチーム作りをしていかなければいけない。そこはスタッフと共有して、こだわりを持ってやっていかなければいけないと思っています」
こうした森保監督の話を踏まえると、第2期森保ジャパンの当面の見どころは、以下の3つに集約できるだろう。
・W杯メンバーのさらなる成長と、それを脅かす新戦力の台頭
・プレーモデルと攻撃のデザインの構築
・戦術的オプションとバリエーションのブラッシュアップ
ロシアW杯終了後の18年7月に行われた日本代表監督就任会見で、目指すサッカーにいて問われた森保監督は「対応力をもって戦うということです。臨機応変に、状況に応じて勝つために、流れを掴むことを選手が判断して選択できるサッカーをしていきたいと思います」と宣言した。
しかし、昨年12月29日の再就任会見でも、2月8日のオンライン囲みでも、3月10日に行った今回のインタビューでも「主体性」「対応力」といった言葉は聞かれなかった。
カタールW杯での日本代表選手たちは、各々が自身の意見や考えを発信し、ディスカッションし、主体的に戦えるチームとなっていった。次の3年半は選手たちがさらに個の能力を高める一方で、チームとしてはより戦術面を深めるチャレンジとなる。
その第一歩が、今月末のウルグアイ戦とコロンビア戦である。新チームのお披露目だとか、W杯メンバーの凱旋試合などという、お祭り気分の緩いゲームでないことは間違いない。
(企画・編集/YOJI-GEN)