【北海道・札幌2030オリンピック招致特別企画】スピードスケート鈴木靖さんインタビュー

日本オリンピック委員会
チーム・協会

【写真:アフロスポーツ】

 北海道・札幌オリンピック・パラリンピック冬季競技大会招致サイトに掲載されているインタビューをご紹介します。(2022年6月掲載)

 1984年サラエボ冬季オリンピックにスケート/スピードスケートで出場した鈴木靖さんに、オリンピックで学んだ大切なこと、オリンピックを通して未来を担う子供たちに伝えたいこと、そして札幌2030大会招致への思いをお伺いしました。

■オリンピックとは何かということを子供たちに知ってほしい

【写真:アフロスポーツ】

――本日(2022年6月6日)は札幌オリンピックミュージアムで札幌市オリンピック・パラリンピック教育が実施され、鈴木さんも講師として参加されましたが、子供たちが本当にすごい集中力で、楽しそうにしていました。

ええ、子供たちはいつもあのような感じで聞いてくれていますね。それに子供たちも楽しみにしてくれていると思うんですが、実は私たちもすごく楽しみにしていているんです。

――札幌市で実施されているオリンピック・パラリンピック教育は、小学校3年生の社会科の授業である「街を知る」一環として行われているとのことですが、鈴木さんはどのような思いでオリンピック・パラリンピック教育活動を続けているのでしょうか?

オリンピックとは何かということを子供たちに知ってほしいということと、授業の一環としてオリンピックミュージアムに来るのは主に小学校3年生、4年生、5年生ですが、8年後にここ札幌でオリンピックが開催されることになったら、まさにその時に札幌を一番元気にしてくれる年代だと思っていますので、その時にオリンピックのことを少しでも知っていたら、またオリンピックに対する考え方が違ってくるのかなと思っています。

――私も学生時代に1998年長野冬季オリンピックでボランティアをしたんですが、子供の時にオリンピックについてもっと勉強できていたら、周りの友達も含めてもっといい経験ができたのにと本当に思います。

最近は札幌市の各区の方で講演をやらせていただいたり、いろいろとお話をさせていただく機会があるのですが、講演が終わった後に「感動しました」とか「こういう話を札幌2030大会招致の賛否を問うアンケートの前に」という言葉をたくさんいただきました。なので、これからは小学生だけではなくて、いろいろな層の札幌市民の皆さまにどんどん伝えていきたいなと思っています。

■お互いに尊重しあい、思いやる。それがオリンピック

【写真:アフロスポーツ】

――では、ここからはオリンピック全体についてのお話をお伺いします。鈴木さんの人生において、オリンピックとはどのような存在ですか?

人生においてというよりも、人生そのものだと思っています。私が小学校4年生の時に1972年札幌冬季オリンピックを見て衝撃を受け、そして自分でそのオリンピックに出るんだと決めてからオリンピックの出場に夢を描き、それをつかみ取り、その後は後進の指導、オリンピックの招致と、これらに携わっているということはオリンピックを抜きにしては私の人生はないと思っていますので、人生そのものだと思っています(笑)。

――オリンピックに出場して、競技以外のことで印象に残っているエピソードなどはありますか?

スポーツを通しての仲間というのは、一瞬にして親友になれる力があると私は思っています。数時間一緒にいて、例えばプライベートで買い物に行ったり、いろいろなお話をしたりした後、別れる時にお互いに涙が出てくるというぐらい別れがたい、そのような存在になるくらいにお互いをリスペクトする、尊敬しあう。それがスポーツでの出会いだと思っていまして、私はスポーツを通じての出会いというのは人生において本当に大事だと思いますし、もっともっとそういう感動を広げていきたいなと思っています。

――子供たちにオリンピック・パラリンピックを通して、どのようなことを伝えたい、学んでもらいたいと思っていますか?

オリンピックというものに対して皆さんは通常、メダルをとりに行くスポーツ大会ということを思われていると思うのですが、実はそうではなくて、お互いに尊重しあい、そして仲間を思いやる。そういう気持ちをもってスポーツ大会を開催し、そういう心を育んだ人たちが世界中に広がり、そして、この地球上を平和にしていく。これがオリンピックの力だと、私は信じています。

――2030年に札幌でのオリンピック・パラリンピック開催を目指していますが、鈴木さんはどのような思いで招致活動をしていますか?

今、いろいろな意見があります。招致に対して否定的なご意見もあります。私たちアスリート側からいろいろな経験などをお話して、少しでもご理解をいただくという活動も行っていますが、これがもしオリンピック・パラリンピックを開催した時には、札幌市民全員が「やって良かったね」と言っていただけるような大会をぜひ目指していきたいなと思っています。

――東京2020大会が開催されましたが、1年延期やコロナ禍での開催などいろいろな課題もあったかと思います。その東京2020大会で得た経験や継承していきたいことなども含めて、札幌2030大会はどのような大会にしていきたいですか?

このコロナ禍で東京2020大会が開催できたということは、私はやはり日本の力だと思っています。ただ残念なことに、期待していただいた方々が観客として見に行くことができなかったという大会でもあったと思います。「東京2020大会を開催して良かった」というご意見は、調査の通り非常に多くあると思うのですが、会場で見ることができなかった悔しさとか、そういう思いがどこかにあると思うんです。もし2030年、札幌での開催が決まった時にはその悔しさだったり、様々な思いを一つにして、日本中がワンチームとして札幌2030大会成功に向けて一緒に頑張っていきたいなと、そんな日本にぜひなってほしいなと思っています。

■鈴木靖(すずき・やすし)
スケート/スピードスケート男子500mで1984年サラエボ冬季オリンピックに出場。
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著者プロフィール

日本オリンピック委員会(JOC)は、「スポーツの価値を守り、創り、伝える」を長期ビジョンとして掲げ、オリンピックの理念に則り、スポーツ等を通じ世界の平和の維持と国際的友好親善、調和のとれた人間性の育成に寄与することを目的に活動しております。 JOC公式ウェブサイトでは、各種事業の活動内容をはじめ、オリンピック日本代表選手団や、世界で日本の代表として戦う選手やそのチームで構成されるTEAM JAPANに関する最新ニュースや話題をお届けします。

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