新潟芝の内回りと外回りで好走率に差がある種牡馬は?
【2021/9/5 新潟11R 新潟記念(G3) 1着 16番 マイネルファンロン】
新潟芝・内回りの好走率がより高い種牡馬
■表1 【新潟芝・内回りの好走率がより高い種牡馬】
表1掲載の種牡馬10頭のうち、今年の種牡馬リーディング(7月31日時点)で10位以内に入っているのはルーラーシップ(7位)、ダイワメジャー(10位)の2頭。どちらも勝率〜複勝回収率の5項目すべてで内回りの数値がより高くなっている。内回りにおける単複の回収率はルーラーシップが100%以上、ダイワメジャーも90%台で、ともに馬券的な価値も伴っている。
勝率の差が大きいのは、ジャスタウェイ(内15.6%、外7.1%)、マンハッタンカフェ(内12.9%、外5.5%)、アドマイヤムーン(内10.8%、外5.0%)あたり。このうちジャスタウェイは、連対率や複勝率だと差が小さく、勝率だけ際立って差が大きいという特徴を持つ。単勝回収率288%ということを考慮しても、内回りでジャスタウェイ産駒が1着に突き抜けるパターンに気をつけておきたい。
新しい種牡馬ではゴールドシップに注目したい。特に、2000m内、2200m、2400mの3コースに限った成績を出すと【4.6.4.40】、勝率7.4%、複勝率25.9%、単勝回収率246%、複勝回収率188%で、数字がさらに上向く。現役時代のゴールドシップ自身、直線が短いコースで実績をあげたことを思い浮かべれば、産駒も新潟芝では内回りのほうが得意というのは納得しやすい傾向と言える。
新潟芝・外回りの好走率がより高い種牡馬
■表2 【新潟芝・外回りの好走率がより高い種牡馬】
では、馬券的に面白そうな種牡馬はどれかといえば、ステイゴールドの名前が挙げられる。外回りの好走率が内回りより明確に高く、単複の回収率は100%をオーバー。現役馬は少なくなってきたが、昨年の新潟記念で12番人気1着の激走を果たしたマイネルファンロンなど、外回りで産駒を見かけたら人気薄でも警戒しておきたい。
新潟芝・内外の好走率の差が小さい種牡馬
■表3 【新潟芝・内外の好走率の差が小さい種牡馬】
厳密には、ロードカナロアとドゥラメンテは外回りの数値がやや高めではある。とはいえ、表1、2に掲載した種牡馬ほどの差ではなく、内回りもしっかり走っている。ディープインパクトを含め、内外の回りを問わずに走れるからこそリーディング1〜3位に来ている、という解釈も可能かもしれない。
またディープインパクトは、好走率の差は小さいが、回収率だと内回りのほうがだいぶ有利になっている。ディープインパクト産駒の特長である瞬発力は、直線の短い内回りにはあまり向かないイメージがあるぶん人気を落としやすく、馬券的な妙味も生じやすいようだ。
新潟芝1000mの種牡馬別成績
■表4 【新潟芝1000mの種牡馬別成績】
表4は新潟芝1000mの種牡馬ランキングで、過去5年にこのコースで産駒が30走以上した種牡馬12頭を集計の対象とした。頭ひとつ抜けた10勝を挙げているのがロードカナロアで、好走率、回収率ともに非常に優秀。重賞のアイビスSDでも20年にジョーカナチャンが勝利を挙げている。特に、このコースで有利とされる外の7、8枠に限った成績は【3.6.4.4】、勝率17.6%、複勝率76.5%、単勝回収率81%、複勝回収率163%というもの。人気になりやすい様子も見て取れるが、その信頼性は極めて高い。
文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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