G1組か牝馬限定重賞組か!? ヴィクトリアマイルを占う

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【2016/5/15 東京11R ヴィクトリアマイル(G1) 1着 13番 ストレイトガール】

今週日曜日に東京競馬場でヴィクトリアマイルが行われる。古馬牝馬による芝マイル女王決定戦で、昨年はグランアレグリア、一昨年はアーモンドアイが1番人気で勝利した。今年のメンバーを見渡すと、実績が図抜けている中心馬はいないので、近2年とは違い混戦が予想される。果たして勝つのはどの馬か。いつものようにデータからレースを分析したい。分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

過去10年のヴィクトリアマイル好走馬

■表1 【過去10年のヴィクトリアマイル好走馬】

表1は過去10年のヴィクトリアマイルで3着以内に好走した馬の一覧。主に前走と2走前の成績を記載した。このレースの大きな特徴を挙げると、リピーターが目立つということ。ストレイトガールは2勝3着1回で計3回、ヴィルシーナ、ホエールキャプチャ、ノームコア、ジュールポレールは2回好走と、複数回好走した馬が5頭もいる。

詳しい成績をみていくと、13年のホエールキャプチャは、2走前がクイーン賞(船橋)で13着、前走が阪神牝馬Sで14着と大敗していたこともあり、前年のヴィクトリアマイルの覇者でありながら12番人気の低評価だった。しかし、結果はヴィルシーナの2着と激走した。14年のヴィルシーナも前年の覇者という立場で出走したが、近2走の着順が悪く、11番人気まで評価を落としていた。しかし、レースでは見事な走りをみせて連覇を飾った。このように前年の好走馬が、翌年も好走するパターンが非常に目立つ。東京芝1600mのコース適性が高い馬が、力を存分に発揮するイメージがある。近走の成績が良くない馬でも一変してくるので、決して侮れない。

また、本競走は近走G1で戦ってきた馬と、牝馬限定重賞路線を歩んできた馬がぶつかる、という構図になりやすい。そして結果的には、それぞれの路線から来た馬が両方馬券に絡みやすい。G1組が上位を独占し、牝馬限定重賞組が全然こないというケースはほとんどない、と考えてみたい。

冒頭で名前を挙げたグランアレグリアやアーモンドアイはG1組の代表格。牡馬が相手のG1を勝ちまくっていて、牝馬同士では実績が図抜けていた。実力的にここは勝って当然ともいえたし、東京芝1600mの適性も極めて高かった。

16年は2走前にジャパンカップに出走していたミッキークイーンとショウナンパンドラが好走した。しかし、勝ち馬のストレイトガールに比べて、マイル戦の適性が劣っていた分、勝ち切れなかったという気もする。

14年3着、15年・16年は連覇と大活躍したストレイトガールは芝1200mのG1戦線で戦っていた馬。芝1600mの経験は少なかったが、このレースだけはとにかく良く走った。また、12年1着ホエールキャプチャ、13年1着ヴィルシーナは2走前にエリザベス女王杯に出走。両馬とも3歳時は桜花賞で2着という実績があった。中距離だけでなくマイル戦にも対応できる馬だった。

このように近2走でG1に出走していた馬は、毎年高い確率で馬券に絡んでくる傾向にあり、桜花賞などマイルG1で好走実績がある方が望ましいと考えたい。

一方、牝馬限定重賞で実績を挙げてきた馬も、毎年のように好走している。前走阪神牝馬S組は特に有力で、同年の中山牝馬Sや福島牝馬S、京都牝馬S、そして前年の愛知杯も重要。中でも近2走両方で好走している馬は注目。13年3着マイネイサベル、20年2着サウンドキアラ、21年は2着ランブリングアレーと3着マジックキャッスルが、牝馬限定重賞で連続好走していた。

17年3着ジュールポレールと18年3着レッドアヴァンセは2走前に1600万クラスを勝ち、前走阪神牝馬Sで好走。18年2着リスグラシューは、2走前に東京新聞杯を勝ち、前走阪神牝馬Sが3着だった。このように、牝馬限定重賞に限らず近2走で好走している好調馬は有力と言える。

その他には、12年2着ドナウブルー、15年2着ケイアイエレガント、19年2着プリモシーンのように、近2走中1回だけ重賞で連対していた馬もいる。また、15年3着ミナレット、17年2着デンコウアンジュ、19年3着クロコスミアは、近2走中1回だけ重賞で5着以内に入っていた。これぐらいの実績馬までマークすると、馬券の買い目が広がって大変だが、穴馬券を狙うのであれば、こうしたタイプも軽視はできない。

【結論】

それでは今年のヴィクトリアマイルを占っていくことにする。出走予定馬は表2の通り。

今年のヴィクトリアマイル出走予定馬

■表2 【今年のヴィクトリアマイル出走予定馬】

フルゲートは18頭。他にも登録馬あり。

まず近2走でG1に出走していたのはアカイイト、シャドウディーヴァ、ソダシ、テルツェット、デアリングタクト、ファインルージュ、レイパパレ、レシステンシア。この中では芝1600mのG1で好走実績があるソダシ、デアリングタクト、ファインルージュ、レシステンシアが特に有力。ただ、さらに順番をつけるとすれば、デアリングタクトは約1年1か月ぶりの休み明け、レシステンシアは昨年の本競走で6着と敗れている点を考慮し、ソダシファインルージュを上位の評価としてみたい。

近2走ともに牝馬限定重賞で好走しているのはクリノプレミアム、デゼル、ミスニューヨーク。ただし、デゼルは昨年の本競走で8着と敗れているのがどうか。他の2頭は勢いを買って注目してみたい。

その他では、昨年の本競走で3着と好走しているマジックキャッスルに注目。今年もリピーターが出るとすればこの馬しかいない。前走阪神牝馬Sで5着とギリギリ掲示板に乗った点も好材料とみたい。ソングラインは昨年のNHKマイルCで2着の実績がある。前走はサウジアラビアのレースだが重賞(G3)で1着。左回りでは安定した成績を残している。

以上、取り上げたG1組・牝馬限定重賞組の有力馬、マイルG1実績馬をうまく組み合わせた馬券を考えてみたい。

文:小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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