勢いが凄い! オルフェーヴル産駒がダートで躍動!

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【2022/5/1 福島11R 吾妻小富士ステークス 1着 8番 ラーゴム】

今回はオルフェーヴル産駒のダート成績にスポットを当てた。最近、JRAの特別戦で勝利した馬が続々と出ていて、非常に気になった。2018年以降のレースを対象に、勝利した馬を調べることにした。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

JRAのダート特別戦を勝ったオルフェーヴル産駒(2018年以降、22年5月1日まで)

■表1 【JRAのダート特別戦を勝ったオルフェーヴル産駒(2018年以降、22年5月1日まで)】

表1は2018年以降(2022年5月1日開催終了時点まで)にJRAのダート特別戦を勝ったオルフェーヴル産駒の一覧。2018年の勝利数はわずか2つ、19年も3つだったが、20年は11と大幅にアップした。そうなった理由を一つ挙げるとすれば、芝を使っていた馬がダートに矛先を転じるようになったことだろうか。現在、交流重賞で活躍しているヘリオスが本格的にダート短距離戦線に進んだのはこの年からだった。また、ジャスティンは20年、年明けすぐに門松Sを勝ってオープンクラス入りを果たすと本格化。千葉S、東京スプリント(大井)、東京盃(大井)、カペラSとJRAのレース3勝+交流重賞2勝と大暴れした。

また、デビューからずっと芝を使っていたマルシュロレーヌが、9月に小倉ダート1700mの桜島Sに出走。鋭い瞬発力で差し切り勝ちを飾り、初めてのダートとは思えないような鮮烈なパフォーマンスをみせた。同馬はその後、レディスプレリュード(大井)、TCK女王盃(大井)、エンプレス杯(川崎)、ブリーダーズゴールドカップ(門別)と交流重賞を4勝し、昨年アメリカのG1・ブリーダーズカップディスタフを制するという快挙を成し遂げた。

オルフェーヴル産駒は21年もJRAのダート特別戦を10勝。前年よりも勝ち星は1つ減らしたが、オープンクラスを勝った馬が2頭いた。ヘリオスが東京ダート1400mのグリーンチャンネルカップと霜月Sを勝利。ショウナンナデシコはカノープスSを勝利した。ショウナンナデシコのその後の活躍については、後述したい。

そして今年に入り、オルフェーヴル産駒はすでにダート特別戦で6勝をマーク。これは5月1日開催終了時点の数字なので、このペースで勝ち星が増えれば20年や21年を上回ることになる。勝ったレースを個別に見ていくと、4月30日、5月1日の2日間で4勝を挙げた。東北Sでは牝馬のキムケンドリームが13番人気で勝利。ウシュバテソーロは横浜Sを7番人気で勝利した。ウシュバテソーロは初めてのダートだったが、レースの上がり3ハロンが34秒0という凄い末脚で追い込み、4馬身突き抜けた。速い時計が出やすい東京のダートとはいえ、なかなかお目にかかれないような凄い瞬発力だった。次走はかなり注目される存在になるだろう。

吾妻小富士Sを5番人気で勝ったラーゴムは、3歳時にきさらぎ賞を勝利している芝実績馬だった。ダート初挑戦となった2走前の仁川Sでは4番人気で6着と敗れたが、ダート2戦目で大きな変わり身をみせた。芝・ダート両方の重賞制覇という目標も十分視野に入ってきた。

ブリリアントSを1番人気で勝利したアルドーレはデビュー戦だけ芝だったが、その後はずっとダートを使われている。今年7歳となり、今回の勝利でダート6勝目を挙げた。このように1番人気、中穴、大穴と人気面でも多彩なタイプが勝ち星を挙げている。

表1の前走着順別成績

■表2 【表1の前走着順別成績】

表1に記した馬の前走着順をチェック(表2参照)したところ、前走1着の馬が9頭いた。前走2着・3着はそれぞれ4頭。前走6〜9着の馬も7頭いた。しかし、前走10着以下に敗れていた馬は1頭もいなかった。前走が芝であれダートであれ、そこで大きく敗れていた馬は厳しい。6〜9着ぐらいであれば十分巻き返してくる可能性があり、馬券的にも穴になりやすいようだ。

先ほど名前が挙がったショウナンナデシコは、今年に入ってからはJRAのレースを走っていないが、地方で4戦3勝(5月5日まで)の好成績を収めている。同馬のキャリアをあらためて振り返ると、マルシュロレーヌのように芝→ダート替わりで頭角を現したわけではなかった。2歳新馬で阪神ダート1800mを圧勝したものの、その後の成績は目立つものではなかったし、古馬の2勝クラスを勝つのに苦労した。下級条件のダート戦で揉まれることで力をつけたように感じる。

オープンクラスに上がってからも、ベテルギウスS2着、重賞初挑戦のTCK女王盃も2着に敗れた。しかし、今年3月のエンプレス杯で重賞初制覇を飾ると、続くマリーンC(船橋)も勝利。この勢いは止まらず、先日行われたかしわ記念(船橋)も勝利して3連勝。交流のJpn1となったかしわ記念を牝馬が制するのは、史上初の快挙だった。

JRAのダートG1にはフェブラリーSとチャンピオンズCがあるが、牝馬が勝つのはかなり大変だ。フェブラリーSがG1に昇格した1997年以降は、牝馬の勝利が1度もない。チャンピオンズCは2014年にサンビスタが勝利を飾ったが、これが同レースにおける牝馬の初勝利。同レースの前身にあたるジャパンカップダート(00年〜13年)でも例がなかったので、22年間で牝馬の勝利はわずか1回ということになる。

こうした現状のなか、海外・地方のダートで新たな歴史を作ったオルフェーヴル産駒が、JRAのダートG1を勝利することができるか、という点にも注目しながら今後の活躍をみていきたい。

文:小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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